海老名市内の小学校で「給食に異物が混入している」といった報告が相次いでいる事を受け、市側では再発防止に向けたマニュアルづくりを急ぐなど対応に追われている。だが一方で、こうした事実を公表する際の基準が特に設けられていないため、神奈川県内の市町村では現状、海老名市だけがとりわけ風評被害を被る可能性も指摘されており、関係者を悩ませている。
海老名市教育委員会の発表によれば、市内小学校の給食に異物が混入した事例は、今年度、既に2件発生。
上星小学校の給食の中に小さなビニール片が見つかったほか(5月7日)、海老名小学校では米飯の中に5㎜ほどのプラスチック製の繊維が混ざっていた(5月11日・いずれも本紙既報)。
こうした給食への異物混入は2013年度に2件、2014年度は6件発生しており、今後も増加する恐れもあるため、市では対策に着手。市内小学校の給食調理を手掛ける施設「食の創造館」(中新田4の12の2)では、通常の作業手順に加え、異物混入を人海戦術でチェックすべく職員を増強。またすべての小学校の校長や、食材を取り扱う納入業者に対しても「配膳時」や「配送時」における注意喚起をより一層促すと共に、こうした衛生管理面の対応をまとめた「防止マニュアル」を作成。今月中には完成に漕ぎ着け、関係各所に配布する方針を打ち出している。
「包み隠さず」で突出
海老名市の学校給食の安全性が問われる事となった近年の「異物混入の多発」。しかし、神奈川県内の学校給食の状況などを把握している教育局の担当者は「異物混入における公表基準は特に設けられていないため、市町村ごとにばらつきがある」と説明する。
さらに別の学校関係者によれば、例えば給食の中に「髪の毛1本」「糸くず」レベルの異物が混入した場合、学校から報告を受けた行政担当者が「直接的な健康被害の有無」を確認。食中毒や臓器損傷といった大きな影響を及ぼさない事例と判断した場合は公表に踏み切らないケース(市町村)も多々見受けられるという。
こうした他市町村の実情を尻目に、海老名市では公正を期すために「包み隠さず」(教育委員会)の姿勢を徹底。これにより、公表してきた市内給食の異物混入で健康被害は1件も報告されていないにも関わらず、発生件数だけが他エリアと比べ突出する結果となっているものとみられている。
「調理現場、見学を」
「食の安全」が叫ばれる昨今、こうした市の姿勢を高く評価する声がある一方で「公表基準が厳しすぎる。『海老名の給食は不衛生』といった風評被害に繋がるのでは」と懸念する声も一部に根強くあるのも事実。
前出「食の創造館」では、給食調理を行っている平日の午前中、事前の申込みがなくても作業の様子をガラス越しに見学できる体制を整えており=写真=「ぜひ多くの方に直接来場頂ければ」とPR。安全で美味しい給食を提供するために日々、懸命に調理に取り組む職員の姿を広く公開する事で市民の信頼を高めていきたい、としている。
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