小田急電鉄(株)(山木利満取締役社長)は8月28日、海老名市役所で記者会見を行い、特急ロマンスカーを同線海老名駅に停車させることを発表した。運行については日中時間帯を中心に上下線それぞれ1時間に1本程度が停車する見込み。特急料金、ダイヤ等の詳細は、今年12月頃に2016年3月に実施されるダイヤ改正とともに公表される予定となっている。
ビナウォークをはじめ、ビナフロント、賃貸・分譲マンション等を市内で手掛ける同社。これらの駅周辺の発展に加え、圏央道の開通や西口エリアの開発など、周辺地域からの誘引力があるとし、今年4月には海老名駅を「沿線中核駅」と位置づけている。
同社では、約13万6千人が利用する小田急線ほか2路線が乗り入れる県央地域のターミナル駅に、ロマンスカーを停車させることで更なる交通利便性の向上を図り、地域の発展に貢献するとしている。
34年かけ実現
ロマンスカーの海老名駅停車を求める動きは1981年に遡る。この年から、各自治体と鉄道事業社との連携を図ることを目的とした鉄道輸送力増強促進会議が開かれ、その後も毎年「停車要望」を行ってきた。
しかし、ダイヤ編成の問題や近接する本厚木駅に停車していることなどを理由に電鉄側からは海老名駅への停車実現に向けた前向きな回答を引き出せていなかった。
2009年に海老名市は地域住民からの強い要望を受け、「海老名駅発ロマンスカー実現市民会議」を発足。市内イベントや公共施設、駅頭で署名を呼び掛けたほか、隣接するエリアにも協力を要請するなど活動を展開してきた。
翌10年には、目標としていた20万人を大幅に上回る23万3990人分の署名を電鉄側へ提出。その後も、市ではまちづくり事業等で電鉄側と調整を図り、継続して適宜要望を行ってきた。
内野優市長は「先代市長らの時代から市全体をあげ、30年以上にわたって取り組んだ”念願”の停車。まちの更なる発展へ可能性を広げるものになる」と話していた。
市民からも「都内に行くのが楽になること願って、当時署名をしました。実現してくれて嬉しい」といった声が寄せられている。
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