市内東柏ケ谷の「ロリアン洋菓子店」(【電話】046・231・1610)がこのほど、災害時の非常食として備蓄可能な「街のケーキ屋さんがつくったおいしい保存クッキー」を開発した。これは東日本大震災で被災した宮城県の通販客からの声を受けてのもので、開発開始から6年越しの実現となる。今月上旬の販売開始以来、個人客のほか都内の自治体などからも購入の要望が数多く寄せられている。
クッキー開発のきっかけは、東日本大震災で被災し避難生活を送っていた通販客から届いた1通のメール。たまたま3月11日に届いたロリアンのクッキーを、非常食として避難所に持ち込み子どもたちに食べさせたところ、不安と恐ろしさから一度も笑わなかった子どもに笑顔が戻ったというエピソードが綴られていた。
この話に感銘を受けた店主は、「長期保存できるおいしいクッキーがあれば、災害時の不安な時でも心の安らぎになるのでは」と震災の1カ月後から開発に取り組み始めた。
こだわったのは、「保存期間の長さ」と「おいしさ」の両立。ロリアンの味を変えることなく、通常1〜2カ月ほどの賞味期限をどう延ばすかが課題となった。
これを解決するため、同店では国のものづくり補助金に申請を出し、開発のための新設備を導入した。缶に窒素ガスを入れ、ねじ蓋を密閉することで、保存期間を3年に延ばすことに成功した。
味に関しても、通常の商品と同じ材料を使用しつつ、酸化しやすいバターの配合を調整。これにより、長期保存の際の味の劣化を抑え、かつ「災害時には甘いものが欲しくなるだろう」という気遣いから、普段よりも砂糖を多めにして甘めに仕上げる工夫も施されている。
クッキーの味は、バニラとココアの2種類。1缶に10枚程度収められており、値段は650円(税別)。贈り物用に缶を詰めたギフト箱も用意している。店主は「避難所などで食べて心が穏やかになってもらえれば」と話している。
「ロリアン洋菓子店」は、創業52年となる海老名の老舗洋菓子店。小島将勝さん(53)と有加里さん(54)が夫婦で営んでおり、インターネット通販での販売も行っていることから全国的にファンが多い。
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