ひばりが丘2丁目自治会の会長を務める 伊藤 政裕さん ひばりが丘在住 72歳
秘訣は「自分が楽しむこと」
○…長く工務店の社長として現場を統率し、引っ張ってきた。「客はもちろん、自分が満足できる仕事をしなくては」と、常に完璧を求めた。仕事を引退してから本格的に腰を入れた自治会活動で、新たな価値観に出会った。「会社とは違って、皆本業や家庭の役割が別にある。今のモットーは、楽しく、無理なく」。現在は約480世帯が加入する「ひばりが丘2丁目自治会」の会長として地域に新しい風を送り続けている。
○…竹灯篭や木々を彩るイルミネーション――。街中や旅先で面白そうな物事を見聞きすると、すぐに自治会で取り入れる。「準備も片付けも大変。でも、皆が手伝ってくれるから」。12月14日のクリスマス会では、地産の竹を使ったバームクーヘン作りに初挑戦した。「大切なのは、とりあえずやってみること。結果は後からついてくるから」
○…山形県に生まれ、少年時代から建築の仕事に漠然とした憧れを抱いていた。地元に建築科がなく、一度は土木の道に進むも「やっぱり建築がやりたい」と一念発起。建築会社に籍を移し、40歳の時にひばりが丘の地で独立を果たす。「当時、座間は防音関係の工事がとにかく多くて。景気もよかった」。住宅や市内の制服屋やカラオケスナックなども新築し、街の至る所にその足跡を残してきた。体調を崩し5年前に廃業したが、几帳面な仕事ぶりが支持され、未だに声が掛かることも多い。
○…建築業時代の緊張感に満ちた硬い表情はいつしか解れ、ずいぶんと穏やかになった。今では「趣味は自治会」と明言し、妻に笑われるほどの没頭ぶりだ。「自治会の活動は、人には強制できない。でも、私たちが率先して楽しそうにやっていると、自然に皆ついてくる」。皆で楽しみながら作り上げるのが、思い描く自治会の理想の姿だ。「でも、一番楽しんでいるのは、私だけれどね」。目を細めた顔は柔らかく、充実した日々を感じさせる。
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