大きな夢を抱き活躍する、座間ゆかりの20歳のアスリートがいる。プロボクサーの井上尚弥選手(栗原小学校出身/栗原中央)と、女子サッカーの吉見夏稀選手(同/相模原市)だ。世界へ飛躍しようとする2人に、2014年の夢について語ってもらった。
世界への期待かかる1年
相模原青陵高校時代に、高校生として史上初のアマチュア7冠を成し遂げた井上選手。2012年に大橋ボクシングジム(横浜)に移り、プロに転向。その戦績から「怪物」と称され、2012年10月にライトフライ級でデビューした。そして2013年は「内容の濃い1年」だった。
1月、タイ王者のガオプラチャン・チューワッタナ選手を1ラウンドKO。4月、同級1位だった佐野友樹選手に10ラウンドTKO勝ち。そして、昨年のハイライトとも呼べるのが、8月にスカイアリーナ座間で行われた日本タイトルマッチだ。地元の大声援を受け、驚異的なタフネスを発揮した王者・田口良一選手を判定で破った。「地元から多くの方が応援に来てくれて嬉しかった」と振り返る。さらに、12月に行われた東洋太平洋ライトフライ級タイトルマッチでは、冷静に試合を進め、へルソン・マンシオ選手に5ラウンドTKO勝ちをおさめた。
1年間で4戦。どの試合でもファンの期待と声援に応えてきた。テレビや雑誌などメディアへの露出も増え、外出すると声を掛けられることも多くなったという。取り巻く環境の変化は大きいはずだが、戸惑う様子は見られない。「みんなに応援されるような人間になりたい」と更なる成長を目指している。
2014年は、世界王座への期待がかかる1年だ。世界戦への試金石とされていた東洋太平洋タイトルマッチでは、充分な内容を見せた。世界王座奪取の日本人最速記録(現在は7戦)を更新するには、次戦で世界戦に挑戦する必要がある。次戦が世界戦になるのか、東洋太平洋の防衛戦になるのかは未定だという。
「世界戦になった場合に1回で王者となれるよう、これまで以上に練習に集中します。2013年より更に濃い1年にしたい」と意気込み、「座間市民の皆さんもぜひ応援お願いします」と呼びかけていた。
なでしこリーグ目指す
吉見選手は、2012年に創設された女子サッカーチーム「ノジマステラ神奈川」の一員として、女子サッカー1部「なでしこリーグ」入りを目指している。
兄や友達の影響で、4歳からサッカーを始める。小学生の頃は地元の「A・C・ROSSO(ロッソ)」に所属していた。小学校卒業後、「サッカー選手になる」という夢をかなえるため、養成機関「JFAアカデミー福島」(福島県)へ。12歳で親元を離れる選択について「迷いはありませんでした」
福島の公立学校に通いながらトレーニングに励む日々。卒業まであと1年のところで発生したのが東日本大震災だった。避難を余儀なくされ地元へ。そんな中、参加したのがノジマステラのセレクションだった。
当初はサイドバックを務めていたが、2012年の夏頃からボランチに転向。ファーストタッチで相手をかわすプレーが得意。経験を積むことで、視野も広くなり、足元の技術も向上してきた。尊敬する選手は鹿島アントラーズの本山雅志選手と野沢拓也選手で、「ボールを持ったら何をするか読めない。他の人にない感覚を持っている」と話す。
昨年9月、ナイジェリア代表と戦う日本代表「なでしこJAPAN」に初選出。「『何で自分が』って驚きました」と振り返る。試合出場は無かったが、合宿では川澄奈穂美選手などトップレベルのプレーを目の当たりにして刺激を受けた。
チャレンジリーグ(=2部)に所属するノジマステラ。2014年は昇格をかけた勝負の1年だ。「ボランチとしてチームを引っ張りたいです」と語る。さらに視野は2020年の東京オリンピックへ。「アカデミーの仲間と一緒に出ようと約束しました。7年は長いようで短い。日々のトレーニングを怠らず、後悔しないよう頑張ります」――。
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