24日に初公開されるドキュメンタリー映画「ナニワのシンセ界」を制作した 大須賀 淳さん 西栗原在住 38歳
電子音の海に溺れて
○…ズシリとした機械には無数の配線やツマミ、スイッチが並び、規則的にピカピカと点滅する。怪しげな機器の正体はシンセサイザー。無限の音を作り出す魔法の楽器だ。ピコピコという典型的な電子音から、弦楽器を思わせるのびやかな音まで自由自在。そんな「シンセ」の魅力に取りつかれ、その愛の強さから、ついには一人で映画を1本作り上げてしまった。その名も「ナニワのシンセ界」。シンセの聖地大阪を舞台にした「日本初」のドキュメンタリーが24日、渋谷区の映画館「アップリンク」でベールを脱ぐ。
○…原体験は小学生まで遡る。当時は、初代ファミコンの全盛期。ゲームソフトはまだまだ高価で、小学生にとっては贅沢品だった。「買えないなら、自分でゲームを作ればいい」。早速ゲームプログラムがずらりと書かれている雑誌を買ってきて、コンピュータに一文字ずつ地道に打ち込んだのはいい思い出だ。「1つでも間違えたら、正常に動かない。今考えると、凄い執念かも」。それから、音符も読めないまま音楽プログラムに挑戦し、電子音楽の世界に浸っていった。
○…映像・音楽制作会社「スタジオねこやなぎ」代表。自宅の一室にオフィスを構え、講師や音楽雑誌への寄稿、動画撮影のノウハウを記した書籍の執筆など、音楽と映像に関わるありとあらゆる仕事をこなす。「どんなお仕事をなさっているんですか、と聞かれると、一言で言えないから困っちゃうんです」
○…暗い店内でシンセの音が鳴り響く「シンセ蕎麦屋」、機械を器用に操る「シンセ女子」、雅楽の演奏もできる神職シンセ演奏者―。およそ75分のフィルムからは、サブカルチャーの強烈な匂いが漂う。「始めは、とにかく多くの人にシンセの魅力を知って貰いたいという一心で作った映画。でも、取材を進めるうちに思わぬ方向に深みが出て」。新たな広がりの予感に、胸が高鳴っている。
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