座間市人権擁護委員長を務める 池上 春夫さん 新田宿在住 68歳
地道な努力で支える人情
○…一口に「人権」といっても扱う問題はDVやパワハラ、隣人との境界トラブルに離婚問題など様々。人権擁護委員の仕事は完全なボランティアだが、日々変わりゆく法令や社会問題などの勉強は常に必要とされる。毎月第2火曜の市役所人権相談では1人30分という限られた時間で話の要点を聞きだし、安心感を与えたうえで的確なアドバイスをしなくてはならないからだ。限られた時間が少しでも有意義になるようにと、手帳には基礎知識から偉人の言葉まで、びっしりと書かれている。
○…普段の顔は、農家であり不動産業の経営者。畑には、実がピンクや黄色のスイカ、赤ダイコンなどちょっと変わった野菜たちが大切に育てられている。「皆がやっていることをやってもつまらないから」。昔から探究心が強いうえに凝り性だった。「変わった品種を育てたからといって高く売れるわけじゃあないんだけど……」。食べた人の「おいしかった」の一言が、次の原動力になる。
○…現在は妻と白くふわふわの愛猫のコナツとの、2人と1匹暮らし。九州に暮らす一人息子が今年結婚し、胸をなでおろしているところだ。息子は多忙で中々会う機会も少ないが、生後6カ月のやんちゃなコナツを前に寂しがる余裕もあまりない。「いたずら好きで、パソコンの上なんかにもすぐに乗っちゃって」。その様子を思い出すだけで思わず目じりが下がる。
○…委員になって7年目で、委員長に初就任した。委員の仕事は人権教室にポスターや作文コンクール事業など挙げればキリがない。中でも、強い憤りとともに訪れる人、悲しみに暮れる人、怯える人など様々な人と対面する人権相談はやはり奥が深い。「自分は特別な資格を持っているわけじゃないんだけれど、だからこそ親身になって聞けていることもあるんじゃないかな」。同じ目線で、同じ人間として。問題解決の糸口を、日々探し続けている。
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