支援団体「岩手の漁民と手をつなごう」
津波で甚大な被害を受けた岩手県山田町。同地区で暮らす漁民を「買うこと」と「知らせること」で支援しているのが、藤村重美さん(東原)が立ち上げた団体「岩手の漁民と手をつなごう」だ。発災5年という節目を目前に藤村さんは「これまでと同じよう、地道に続けるだけ。それが何より大事です」と語る。
山田町の今伝える
岩手県沿岸の中部に位置する山田町。リアス式海岸を活かした漁業が盛んな街だったが、津波と火災によって、高台の一部を残して壊滅的な状態になった。
藤村さんが夫・孝さんと、同町を支援し始めたのは11年8月。「支援先を探していたら、(山田町が)見つかった。特別な理由があったわけではないけど、前年の東北旅行で通過していたから不思議と縁があったのかも」と振り返る。「岩手の漁民と手をつなごう」(【電話】046・253・2074)は翌年8月に立ち上げた。今では神奈川・東京・山梨・岩手などに32人の会員がいる。
支援の柱が「消費」。同町の道の駅から海産物を共同購入しているほか、「岩手県漁民組合」の魚屋からワカメなどを大量に仕入れ会員に販売。その売上げを、支援金として被災地へ戻している。
海産物を手渡したり、発送する際に添えるのが、自作の新聞だ。「被災地の現状を伝えたい」と、12年8月の創刊からこれまでに約15本発行してきた。内容は、漁業活性化に向けた取り組み、一部区間が今なお不通状態のJR山田線の復旧の様子など様々。高台で造成中の宅地の販売価格が高騰していることなど、細かい情報も紹介している。現地の人から電話で情報収集する時もあれば、年2回ほどは実際に足を運び「生の声」に耳を傾ける。「頑張っているのに生活向上に結びつかない…。口角泡を飛ばすように必死に話してくれる様子を見ると、私も『頑張らなくちゃ』と思うんです」。
5年が経った今も、住民が震災前のような生活水準に戻すには課題が多い。公営の復興住宅が完成しても、資金面で移り住むことが難しく、仮設住宅での暮らしを選択する高齢者がいる。漁業の後継者不足とあいまって、二の足を踏む人も多いそうだ。
「これからも私たちが活動を続けることが、『被災地が今も大変なんだな』と感じてもらえるきっかけになれば」と藤村さんは意気込んでいる。
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