5月21日にバラ祭を開催する相模台クリニック「ばら園」でインストラクターを務める 片野 恍(たけし)さん 座間在住 71歳
一年の丹誠、一瞬の華やぎに
○…広野台の工業エリアの裏、栗原の一角にひっそりと佇む秘密の花園。相模台クリニックが精神科リハビリの一環として育てるバラ園のインストラクターを務めて7年ほどになる。年間を通じて手塩にかけても、花期は約2週間。その一瞬のため「メンバー」と呼んでいる通院者たちと連日汗を流す。「バラは、何と言っても力強い美しさがある。そして香りがいい。花と触れ合ううち、初めはこわばった表情で輪に入らなかったメンバーさんたちの表情がほぐれていく。こんな素晴らしいことはないね」
○…長年電子部品メーカーで品質管理の仕事をしていたが、リタイア後はバラ一色に。遡れば、昔向ヶ丘遊園で偶然目にしたバラに一目惚れしたことが原点だ。趣味で栽培を始め、退職後にのちの師となる地元のバラ愛好家、平出英之さんを尋ねた。「腕の立つ方だったんだけどね」。色々なことを教わっていた矢先、平出さんは病に伏し、園を継いだ直後に帰らぬ人となった。今でも園の一角に設けられた「平出コーナー」には、彼の愛した花が並ぶ。
○…色とりどりの花にも負けない、真っ赤なシャツがトレードマーク。よく見ると、靴や帽子にもさりげなく赤がアクセントになってものを選んでいるというこだわりぶり。「見た目くらいは若くいたいからね」。家に帰れば2人の男子小学生の「おじいちゃん」だが、気持ちの面ではまだまだ若者。「片野さん、やけたねぇって言われたら、日サロで焼いたんだって答えてんだ」と快活に笑う。
○…年に1回のお楽しみが、毎年5月に埼玉県で開かれる「国際バラとガーデニングショウ」。その中のコンテストにメンバー達と毎年出品しており、今年も入賞を果たした。「あとは、一番上の大賞だけなんだけど」。あと一歩の所で逃し続けている。「取れるまで挑戦するよ」。まぶしい笑顔の後ろには、1年間の愛情をたっぷり注いだ花が、今年も満開だ。
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