7月26日未明に障がい者施設「津久井やまゆり園」(相模原市緑区)で発生し、戦後最悪となる19人が死亡、26人が重軽傷を負った相模原殺傷事件。座間市出身の被害者はうち2人で、女性1人が死亡、男性1人も首や腹などを刺され、一時は意識不明の重体に陥った。事件の発生を受け、いち早く声明を発表した座間市障害者団体連合会(鈴木孝幸会長)。犯人が書いたとされる、障がい者を存在から否定するかのような主張に、真っ向から反論した。 (8月10日寄稿)
同日朝、事件発生の一報を受け、連合会にも衝撃と緊張が走った。19人もの同胞が命を奪われ、他の入所者も体や心に大きすぎる傷を負った。「これは最早テロではないか」。思わずそんな言葉がこぼれた。
隣接する相模原市内にある同施設には、当時5人の座間市出身者が暮らしていたが、正確な情報は中々入ってこない。鈴木会長をはじめ、役員らは事態の把握に追われ、事件の詳細が明るみになっていくたびに肩を落としたという。
残忍な犯行に加え、中でも怒りを覚えたのは、犯人が身勝手な言い分を列挙し、衆議院議長公邸に持参した、犯行声明とも言える手紙だ。自身も視覚障害をもつ鈴木会長は語気を強める。「犯人は殺人や傷害だけでなく、『障害者がいなくなれば良い』と言って、ナイフの代わりに声明文とやらで、全ての障がいのある人とその親の心をズタズタにした。これは全ての障がい者への挑戦であり、冒涜だ」――。
世界各地で障がい者の人権保護重視へと潮流が変わる中、今年4月に国内でも「障害者差別解消法」が施行された。障がいを理由とする不当な差別を全面的に禁止したもので、民間事業者にも筆談や読み上げ対応など、「合理的な配慮」をするよう努力義務が課された。社会全体の理解が一歩進んだと思われた、その矢先の事件だった。
見つめ直す契機に
同連合会は声明で、障がいを「個性」として受け止められる社会への想いを訴えると同時に、「犯人が精神科への入院経験があることから、ほかの精神障がいを持つ方への偏見が増大することも考えられる」と懸念も示す。「今の日本で普通に生活していると、障がい者に会う機会が非常に限られ、それゆえいつまでも理解が深まらない。全国に700万人、世の佐藤さんや鈴木さんよりずっと多い障がい者がいるはずなのに」。県内でも一部の施設で始まっている防犯対策の見直しについては「施設をあまり閉鎖的な空間にしてしまっては、社会から更に遠い存在になる。地域と交流を深めることも理解を促すうえで絶対に必要。地域連携をより強めることで防犯体制を強化できれば」と語った。
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