座間市立図書館で館長を務める金井雄二さん(=57・相模原市南区在住)がこのほど、優れた現代詩集に送られる「丸山薫賞」に選ばれた。受賞作『朝起きてぼくは』(思潮社・2015)は、勤め人として日々を送る金井さんの日常をつづった現代詩集。そのさりげなく自然体な詩が審査員の心を掴み、全国227冊から選出された。
過ぎ去る日常、現代詩に
この賞は、愛知県豊橋市が詩文化の発展などをめざし、1994年に制定。同市出身の詩人・丸山薫(1899〜1974年)の名を冠し、全国から公募した詩集の中から優れた現代詩集に賞を贈っている。
金井さんは市立図書館の館長を務める傍ら、日本現代詩人会や横浜詩人会に所属。詩人としての活動歴は33年ほどになるという。学生時代から国文学を学び、就職した県立図書館の同僚の影響から24歳で現代詩に触れるようになった。
34歳で初の詩集『動きはじめた小さな窓から』(1993)を発表し、第8回福田正夫賞を受賞。続いて出した『外野席』(1997)では第30回横浜詩人会賞を、第3作『今、ぼくが死んだら』(2002)では第12回丸山豊記念現代詩賞を受賞した。
『朝起きてぼくは』は6作目にあたる。「この作品は実験的で、直喩をほとんど使用していませんし、暗喩も可能な限り封じて書きました」と金井さん。現代詩の手法を最低限に絞りながら、いかに詩を感じられるかという挑戦から生まれた作品だという。
表題詩は「朝起きてぼくは詩のことを考えない」という一節に始まり、まず頭に浮かぶその日の会議のこと、朝食をとって電車に揺られて通勤する様など、勤め人としての日常が独自のテンポでつづられている。
9月2日に行われた最終選考では、金井さんの作品を含めた6冊が候補に挙がっており、うち、3冊で審査員たちの意見が割れて議論が巻き起こったが、金井さんの自然体で日常をさりげなく書き、読み手に心象風景を浮かび上がらせる力が評価され、受賞に結び付いた。
受賞の知らせを受け金井さんは「四季派を代表する詩人のひとり、丸山薫の名を冠した賞を頂けることは、驚き以外の何ものでもありません。そしてこの上なく嬉しく光栄です。詩を書き始めたころ、丸山薫の詩集を小脇に抱え毎日読み続けた記憶が蘇えり、初心に帰ることができたように思います」と語った。
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