2016年秋の叙勲がこのほど発表され、市内からはひばりが丘在住の藤森紀男さん(72)が瑞宝単光(ずいほうたんこう)章を受章した。藤森さんは国家検定である技能検定「厨房設備施工職種」の検定委員として、問題作成や採点を担当。業務用厨房業界の人材育成に長年貢献してきた。
叙勲は毎年4月と11月に、国や社会に対して功労のあった人を表彰する制度。顕著な功績を挙げた民間人や政治家に贈られる旭日章と、長年公務などに従事した人を称える瑞宝章などがある。藤森さんは瑞宝章では6番目にあたる瑞宝単光章を受章した。今年の秋の叙勲では、市内唯一となる受章に、「身に余る光栄」とコメントしている。
現在、大手厨房機器メーカー・タニコー(株)の顧問を務めている藤森さん。前身の(有)谷口工務店に営業職として1962年に入社して以来、新規顧客開拓に尽力し、企業の発展に貢献してきた。当時の業務用厨房営業は設計、施工、メンテナンスなどの分業はされておらず、設計から据え付けまで一連を経験したという。
資格試験の問題作成
1991年から8年間、厨房設備施工職種の中央技能検定委員を務めた藤森さん。試験問題や試験要項の作成などを担当してきた。「厨房にはガスや建築、水道、電気と幅広い知識が必要。全部わかっていないと現場に指示が出せない。自分の勉強になるから続けている」と話す。2010年からは東京都の首席技能検定委員に就任。試験会場や資材の準備、採点基準の統一と、重責を担っている。11月11日には皇居で天皇陛下に拝謁した。
両親の背中見て学ぶ
満州電鉄に勤務していた父親は終戦後、ソ連に抑留された経験を持つ。母親は当時2歳だった自身と姉を引きつれ、命からがら帰国。父が解放されるまで、女手ひとつで育て上げたという。「両親の苦労を知っていたから、働くのが楽しくて仕方なかった」と振り返る。
来年2月には年に1回の実技試験を控える。国家検定の円滑な運営をめざし、「自分なりに協力できるよう、これからも精進していきたい」と話した。
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