キリンビール(株)が手掛ける「ハートランドビール」の30周年を記念し、インターネットや全国各地の店舗で展開されているアートプロジェクトのネット動画において、ボトルに絵柄を施す技法・サンドブラストの技術者として参画したのが、ひばりが丘の相模製版(株)の塚口健一さんだ。ボトル300本に、300通りの鳥を彫刻し、30周年に一役買った。
300種類の絵、ボトルに刻む
深い森に、ちりばめられたように並ぶボトル。瓶底から射す淡い緑の光が、鳥を幻想的にライトアップする。冒頭で地に足を付けていた鳥は羽ばたきはじめると、時に池の魚を捕まえながら森のなかを飛び続けて、やがて1本の大樹にたどり着き、その羽を休める――。
約2分間に及ぶ動画は「FOREST」(森)をテーマに、同プロジェクトの一環として製作された。1986年に誕生したハートランドビールが、時間をかけて多くの人に愛されるようになったことを、広大な森の成長になぞらえている。11月28日に特設サイト(http://forest.heartland.jp/)で公開された。
ネット映像に「感動」
相模製版は、塚口さんの父・好信さんが1976年に創業した。業務の1つが、サンドブラストを利用した半導体用マスキングシールや加工品の製造。この技法は、砂などの研磨剤を吹き付けて表面を加工するというもので、工業分野のほか、ガラス細工など工芸品の製作にも活用されている。
プロジェクト参画は、取引先のガラス会社を通じて、約1年前に打診があった。300通りの加工を施すことは困難が予想されたが、その主旨に惹かれ引き受けたという。「これだけ多くの異なるデザインを手掛けるのは初挑戦でした」と、創作意欲も刺激された。
完成までは、イラストレーターと試行錯誤を繰り返したそう。加工が難しいとされるボトルが窄む部分にも彫刻し、研磨剤の吹き付けに強弱をつけて立体感にもこだわった。「何度も試作して。半年以上の時間をかけてやっと完成しました」と振り返る。
先月末、特設サイト上で映像を初めて観たという。「感動の一言。デザインや映像のプロの手によって、自分の作品がこれほど素晴らしい動画になるとは驚きました」と喜ぶ。ボトルは全国各地のハートランドビール取り扱い店に置かれており、「ぜひ足を運んでみたいですね」と嬉しそうに話した。
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