♯みゅーじっくコラム♭ 音楽の森 ピアニスト 倉本 卓
トルコ行進曲付きで有名なモーツァルトのピアノソナタ11番の自筆譜が発見され、世界中のモーツァルト研究家は大喜びしているそうです。現在弾かれている楽譜とは違う部分があるそうで、大変興味深いです。
私はウィーンでモーツァルトの自筆譜のファクシミリ(自筆譜のコピー)をいくつか購入しましたが、どれも書き直しがないのに大変驚きました。モーツァルトは頭の中で既に音楽を完成させ、それを五線紙上に書き写すだけだったのでしょう。
ショパンやブラームスなどの自筆譜を見ると、気に食わない場所などにグシャグシャとインクで消したりしていて、お世辞にも綺麗な楽譜とは言えません。それに比べモーツァルトの楽譜はそのまま店頭に並べられるほどの完成度なのです。
オペラ「ドン・ジョヴァンニ」の初演の前夜、劇場の支配人は序曲の楽譜がないことに気付きました。大慌てでモーツァルトに問い質すと、モーツァルトは自分の頭をさし「全部出来上がっているよ、僕の頭の中にね」と言ったそうです。
モーツァルトが天才と言われる一つのエピソードです。
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