子どもたちに寄り添い忘れ得ぬ思い出を 厚木市長 小林常良
屋根よりも高く、大空を舞う鯉のぼり―。幼い頃、わが家でも父親が大きな鯉のぼりを揚げてくれたものです。母親も炊き立ての赤飯や好物のおかずを食卓に並べてくれ、私にとってこどもの日は特別な日でした。こうした家族との思い出は、60年が経った今でも忘れることはありません。
気が付くと、庭先で鯉のぼりを見掛ける機会は減ってしまったように感じます。若い世代の皆さんの生活習慣や考え方の変化が影響しているのでしょう。
4月から5月にかけ、森の里の若宮公園や温水の地蔵橋付近で、数百匹の鯉のぼりが空を泳ぎます。各家庭で使われなくなった鯉のぼりたちです。
「健やかに育ってほしい」。地域の皆さんの子どもたちへの願いが込もった鯉のぼりには、たくさんの人々が集まってきます。しっぽをつかもうと飛び跳ねる子どもたち、語らいながら風に揺られる鯉のぼりを眺める家族連れや恋人たち。時代やモノの形が変わっても、日本人としての心や大切にしている思いの根本は、今も昔も変わらないのだと思います。古き良き伝統を地域の力で守ってくれている皆さんには、感謝の気持ちでいっぱいです。
私も以前、子どもたちに大人になっても忘れない”何か”を伝えたいと思い、仲間と一緒に大凧を揚げたり、太鼓を教えたりしていました。先日、30代の女性から、「子どもの頃に太鼓を教えてもらっていました」と声を掛けられました。私たちのしてきたことが「少しは役に立ったのかなあ」とうれしく思い、近所のおじさんとの交流を当時の子どもたちが覚えてくれていたことに感動しました。
私の目標は、このまちを「日本一の子育て環境」にすることです。市長として子育て支援サービスの充実に積極的に取り組んではいますが、何よりも大切なのは家庭や地域が子どもたちに寄り添うことだと思います。私たち大人一人一人が子どもたちと真剣に向き合い、子どもたちにとって忘れることのない思い出が一つでも多く刻まれることを祈っています。
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