気高く情熱的―。印象を尋ねられるとそう答える人が少なくないのが、花の代表格ともいえるバラ。市内では5戸の生産者が年間約21万本を出荷している。6月18日の父の日を前に、厚木市園芸協会花き温室部会バラ部会は収穫の最盛期を迎えている。同部会の内田博夫部会長(68)の温室を訪ねると、辺り一面に咲くバラの花を一つ一つ手入れする姿に出会った。
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▽市内下津古久の約7アールの温室でバラを育てている。品種は深紅色でベルベットのような質感の「サムライ」や大輪の白バラ「アバランチェ」、濃いピンク色の「ブロッサムピンク」など7種類。7、8月を除く一年中出荷が続く。「365日、バラと向き合わない日はない」と嬉しそうに笑う。
▽現在温室がある場所はかつて両親がイチゴを栽培していた。自身は農業高校でバラを専攻。19歳ごろから温室の一部を使ってバラの生産を始めた。市場での出荷のほかに自宅で依頼を受けて花束を作る。バラを育てて45年以上経っても、苦労に思ったことは無いと話す。「お客さんにバラの花束を作って渡すと、絶対に笑顔になってもらえる。それが嬉しくて。お客さんの笑顔には対価以上の価値があるよね」。日焼けした肌に深い笑い皺ができた。
▽バラ生産者は下津古久で3人、岡津古久、下荻野にそれぞれ圃場(ほじょう)を持つ。石油危機では燃料がなくなり廃タイヤ燃料を使ったこともあった。「近くに仲間がいたことが何よりの宝。当時知識も少なかったので仲間と試行錯誤しながら続けてこられた。彼らは今でも大切な仲間だよ」。道端で会うと笑顔で話をするバラの仲間たち。「辞められないよ。バラ生産は一生。死ぬまでバラ農家だね」。言葉を噛みしめながら語った。
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