厚木版 掲載号:2017年12月1日号
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東名厚木病院 「口から食べる」を支援 摂食嚥下チームが10周年

社会

右から宮城忠好さん、芳村課長、宮城文子さん。宮城さんはリハビリで3食口から食べることができるようになり、今では太極拳や囲碁で地域住民と交流をするまで回復した
右から宮城忠好さん、芳村課長、宮城文子さん。宮城さんはリハビリで3食口から食べることができるようになり、今では太極拳や囲碁で地域住民と交流をするまで回復した
 口から食べること、飲み込むことを意味する「摂食・嚥下(えんげ)」。市内船子の社会医療法人社団三思会 東名厚木病院(山下巌院長)では、急性期医療の中で、治療とともに口から食べることのケアを早期に開始。患者の回復を促進させることを目的に立ち上げた摂食嚥下チームがこのほど、10周年を迎えた。

先駆け的存在

 同院に摂食嚥下チームが発足した2008年ごろ、高齢者の肺炎に対しては誤嚥を防ぐため、当然のように絶食が中心だった。高齢者の絶食は、肺炎は治癒しても体力を奪い、心身が衰弱し、生きる希望さえも失う構図が、その頃の日本の医療現場にはあったという。

 同院では当時の院長や看護部長が中心になって、「治療と食べることが医療の両輪」だという考えのもと、摂食嚥下チームを組織。県内や市内の一般病院では先駆け的存在だった。

 現在では摂食嚥下療法科スタッフの専任看護師と歯科衛生士を中心に、リハビリスタッフや管理栄養士、薬剤師など総勢20人の多職種協働型チームを編成。年間に700〜800人の入院患者を診る。また、このうち年間20人程度は、嚥下リハビリ目的で入院する患者だという。

 当初は入院と同時に食べることを見据えたアプローチに違和感を持つ医師も多かったが、口腔ケアや離床などの手順を踏めば急性期の段階から口から食べることが可能で、絶食による弊害を減らすことができるという考え方が院内に広まった。3食を口から摂取すれば在院日数短縮という結果につながることも分かった。

年4〜5回勉強会

 チーム発足当初から同院で行っている摂食嚥下の勉強会は、現在年に4〜5回のペースで実施。1回あたり院内外から100人を超える参加者がある。

 また、13年ごろからは週2回の電話相談も開始。年間に120〜130件の相談が全国から寄せられる。ほとんどが、チューブを取り付け直接胃に栄養剤などを注入する治療法の「胃ろう」にすべきか、食べることの望みを諦めたくないといった相談、家族の介護の悩みだという。

明日への命つなぐこと

 摂食嚥下チームの10周年を記念したフォーラムが11月11日、同院の三思会記念ホールで開かれた。

 この日は医師や看護師、ケアマネージャーなどの医療従事者や元患者、家族など160人が出席。「リハビリ医からみた幸せな食事」や「暮らしの中で行う摂食訓練」の講演が行われた。

 また、脳幹部小脳梗塞で嚥下障害を患い、14年に同院に嚥下リハビリ入院した八王子市在住の宮城忠好さんと妻の文子さんが、当日はゲストとして登壇。宮城さん夫婦はNHKで放映された同院の番組を見て嚥下入院の依頼の手紙を書いたことや、一度は胃ろうの手術をするも、あきらめずに在宅にてリハビリを続け、現在は3食口から食事ができる現状を話した。

 宮城さんは取材に「リハビリ入院で一つの光と希望を見つけました。食べることは明日への、未来への命をつなぐことです」と話した。同院の摂食嚥下療法科の芳村直美課長は「10年で培ったノウハウを活かして、病院を拠点に厚木市全体の食支援づくりに、在宅を支えている方々と一緒に連携していきたい」と語った。

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