1877年(明治10年)に上粕屋の旅籠屋「紙屋」で起きた立てこもり事件で殉職した、祝井盛武三等巡査をしのぶ慰霊祭が11月19日、事件現場の跡地(上粕屋1758)で行われた。
当日は荒牧康和署長をはじめ伊勢原警察署員らおよそ30人が参列。県警初の殉職者として29歳の若さで亡くなった巡査の勇気をたたえるとともに、旅籠屋の子孫として故人を慰霊し続けている鵜川家に感謝の意を表した。
供養続けて90年
事件は1887年11月19日深夜に発生した。当時、離れに下宿していた犯人は紙屋の娘に求婚したところ断られ逆上した。現場に駆けつけた祝井巡査は、犯人を取り押さえようとしたが短剣で刺され帰らぬ人となった。犯人は数日後に厚木で検挙された。
紙屋は1923年の関東大震災直後に廃業。しかし、子孫たちは祝井巡査の恩を忘れまいと今日まで90年以上にわたって供養を続けている。現在は4代目の子孫にあたる鵜川進さん(93歳)が供養にあたっている。
慰霊祭に参列した子孫の一人・鵜川四郎さん(82歳)は「ここで起きたことは母からいつも聞いていた。今後もできる限り祝井巡査への感謝を語っていきたい」と話した。
なお、横浜市栄区にある県警察学校内の殉職警察職員慰霊塔には、祝井巡査の名前が刻まれており、毎年県警の主催で慰霊祭が営まれている。
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