国内のラジコンファンから一目置かれるモデラーが綾瀬市内にいる。落合南在住の平尾昌弘さん(53)だ。2011年12月にはNHK総合で放送されたドラマ「真珠湾からの帰還」で平尾さんが作成した軍艦「甲標的」のラジコンと模型が再現部で使用されていた。
「モデラー」とは模型製作をする人を指す。幼少期から模型作りが趣味で、小学校1年生の頃からナイフで木を削り、船などを作っていた平尾さんは、中学生になるとラジコンに興味を持った。「ラジコン部だけで2万円位。高価な上に、壊れたら修理も難しいから、もったいなくて学生の頃は友人の間でも持っているのはごくわずかだった」と振り返る。近所に住むラジコン愛好家から雑誌を借りるなどして、独学で知識を深め、初めてプラモデルに手を加え飛行機を自作した。
乗り物の構図や仕組みを知ることが好きだった事から自動車整備士を経て、車の1/1モデルを作る職に就いた。しかしデジタル化の時代の中で仕事は激減。6年ほど前、ついにその職を辞さなければならなくなった。趣味のラジコン作りから、当時は利用者も少なかったインターネットショップで自作の潜水艦販売を開始。モデラーである平尾さんのラジコンは精巧な出来で国内には数少ない潜水艦のラジコンは全国の愛好家の心を掴んだ。潜水艦は雑誌や歴史資料で実物を研究し、歴史背景や使用目的まで調べてから作る。
”喜んでくれる人のため”
学生時代に借りたラジコン雑誌が今の自分に大きな影響となった事から「自分にもできることを」と、水中ロボットコンテストの推進委員として、基本的な水中ロボの指導も行なっている。最近は子どもたちが工房で工作をするより、ゲームを好むように感じるような事もあるが、残念には思っていない。「好きな事をやればいい」と平尾さん。潜水艦ラジコンは楽しめる場所が少なく、日本には愛好家も少ないというが「喜んでくれる人がいてくれれば」と平尾さんは話す。