「第31回全国高等学校弓道選抜大会」へ初出場を決めた相洋高校弓道部の主将 安納(あんのう)未侑(みゆ)さん 吉岡在住 17歳
仲間を信じて、射る
○…静まる会場で、目に映るのは黒と白の的のみ。決勝の重要な場面で4本全てを命中。「1人が外しても他の2人が補い合えるのが良いところ。3人信じ合って戦えてうれしかった」。集中のあまり、その優勝が全国に繋がっているとも知らなかった。終わってから、尊敬する先輩たちが長年目指してきた全国の舞台についに手が届いたことを知り、うれしさは倍増。周囲も歓喜に湧いた。
○…「2人が失敗すれば私もうまくいかないけれど、2人がうまくいけば私もできる」という、良くも悪くも影響し合う団体戦メンバーの2人とは中等部からの親友同士。高校に上がって一緒の部活に入ろうと部活動見学の中で弓道に出会った。袴姿で凛と立つ姿や沈黙を破って射る姿に3人揃って心奪われた。入部から半年ほどの間は体力作りや矢を射るための作法「射法八節」の繰り返し、ゴム弓での練習などが続き、憧れの「的を射る」までの道のりは長かった。そんな日々を乗り越えられたのも親友の存在があってこそ。練習でもなかなかできない4本全てを命中させる「皆中」を重要な場面で引き出せるのは2人とだから。
○…「集中力」はかなりのもの。綾瀬の自宅から小田原の学校まで、片道2時間かけて通う。朝の自主練も放課後練も欠かさず、土日も練習か試合がほとんどで、朝6時過ぎに家を出て、夜は9時をまわることもしばしば。勉学に充てる時間はかなり限られているが、時間は少なくても「量より質」。飲食店や電車内でもスイッチが入れば勉強モードになれる。
○…「1日弓を引かないだけで調子が狂ってしまうので、毎日射ちたくなるんです」。テクニックでなく、ひたすら基本を極める弓道。部活動が休みの日も弓道場に行き、必ず20本放ち、基本を体に染み込ませる。プレッシャーを跳ね返す強い精神力は自分にも嘘をつかない地道な努力があるのを教えてくれた。