市教育委員会の教育長に就任した 宇根 真琴さん 59歳
ギター片手に教育の道36年
○…最後に校長を務めた綾西小で定年を迎え、4月1日付で綾瀬市の教育長に就任した。今はまだ挨拶回り中心だが、「色々わかるようになったら、よく現場に足を運んでいた前教育長に倣いたい」と意気込みを語る。36年の教員としての経験に、現場の声を加えることで「刻々と状況が変わる教育現場にとって、いい方向を模索したい」という思いがある。
○…教師を志したのは大学卒業間近。当初希望していたテレビ業界への就職に悩み、ふと思い出した小6の時の恩師を訪ね相談したのをきっかけに、「自分もこの先生みたいになりたい」と進路が開けた。在学中に取った教員免許は中・高だったため、卒業後に通信教育で小学校の免許を取得。恩師の元で実習を受け、夢を叶えた。「定年退職を新聞で知った新任2年目の時の生徒がこの前、学校に手紙をくれて。教師冥利に尽きる」と顔を綻ばせる。
○…生まれは岐阜県高山市。実家の引っ越しで厚木に移り、今は伊勢原に居を構え夫人と暮らす。三女の父で、孫の話をする様は好々爺そのものだ。小5の時にビートルズの影響で始めたギターは教員時代も健在で、朝や帰りのホームルームで歌う「クラスの歌」を自ら作った。クラスに起った身近な話題を歌詞にしたもので、作曲数は200曲に及ぶ。昔ギターを教えた生徒がそれを覚えており、同窓会で一緒に弾いたというエピソードもあるそうだ。
○…目標を持つこと、心を込めること、そして恩師の言葉「よく見て、よく聞くこと」を心がけてきた。人間性を豊かにすることに焦点を当て、この3つを生徒たちに繰り返し教えてきた。「学校も一つの社会。勉強と同じくらい、人との関りも大切。経験上、人間関係が上手くいくと学力も自然と上がる」と持論を語る。「教育委員会は学校現場だけでなく、市民の生涯学習も担うところ。綾瀬の教育の充実・発展に寄与したい」と、力強く話した。