市内の外国人労働者に日本語を教える「日本語クラスあやせ未来塾(渡邉誠一運営委員長)」が4月17日、市内吉岡東の(株)栄和産業で開校式と第1回授業を開催した。ボランティア講師による「出前授業」というユニークな取組みで日本語習得の機会を拡大し、言葉の壁を超えることで街に溶け込みプライベートを充実させてもらおうというものだ。
未来塾設立のきっかけは、地域の国際化を進める市民団体「AIFAあやせ国際友好協会」と渡邉さんの出会い。渡邉さんは川崎市で学校長を務めていた時に市民活動団体の日本語教室に学校を開放したり、退職後には教育相談員としてJALに勤めたりと国際的な活動に理解が深かった。最近はAIFAの開く日本語教室や、あやせ国際フェスティバルの手伝いなどをしていたそうだ。
活動をする中で、メンバーの1人に「待っているだけでは限界がある。出前授業をしたら需要があるのではないか」と持ちかけられ、本格的に動き出す。AIFAをはじめとした他の市民活動団体のメンバー5人と運営委員会を立ち上げ、あやせ未来塾を創設した。
外国人労働者のプライベート充実に
会場になった栄和産業は、運営委員会メンバーの1人でもある伊藤正貴さんが社長を務める企業。カンボジア人の従業員を多く抱える伊藤社長が趣旨に賛同し、同社の食事スペースを授業場所として提供した。
従業員から「ぜひ日本語を学びたい」という要望が寄せられたのも、後押しになった。「仕事だけを考えれば、母国の先輩が多くいるから実はコミュニケーションには困らない。でも、せっかく日本に来たんだから、言葉を覚えてプライベートを充実させて欲しい」と伊藤社長は話す。
授業は同社が定時に仕事を終える金曜日に設定。月に3回、5時過ぎから1時間半ほどの授業時間で少人数個別指導を行う。今は能力に応じ、2つの班に分けている。
講師は渡邉さんの他に、AIFAで日本語教室の指導を長くやっているベテランや、外国人の園児を多く受け入れていた保育園の園長経験を持つ人など4人が務めている。
「いずれ活動を広げるために、今は定期的にフィードバックを行い、授業の充実や講師陣の増強を図りたい。テキストだけじゃなく、ゲームなども取り入れて楽しく学べたら」と展望を話す渡邉さん。あやせ国際フェスティバルのスピーチ参加や、日本語能力試験への挑戦も考えているそうだ。