対談企画 地域医療のビジョンとは 県・海老名の歯科医師会、両会長に聞く
地域包括ケアシステム構築に向けた動きが高まり、地域医療の在り方やその重要性が叫ばれる中、タウンニュースでは(一社)神奈川県歯科医師会の鈴木駿介会長と海老名市歯科医師会の鈴木仙一会長による対談形式でのインタビューを行った。両会長はそれぞれ、自分達が取り組むべき課題や最近の医療現場の状況などを総括すると共に、相互の枠組みの下、連携をより強化していく事などを確認しあった。(聞き手/本紙・室野義之)
――まず始めに、それぞれの会の、主な取り組みについてお聞かせ下さい。
鈴木駿「一般社団法人・神奈川県歯科医師会は、県内医療の充実や地域住民の健康維持などを主な目的に歯科保健の普及向上を図るべく『事業活動方針』を策定。毎年これに基づき様々な事業を展開しています」
鈴木仙「私たち海老名市歯科医師会は、その県歯科医師会の中に33ある地域歯科医師会の一つとして、地域医療の拡充などに積極的に取り組んでいます」
休日診療、拡充へ
――ここ数年間、海老名市歯科医師会が特に力を入れて取り組んでいる事業などはありますか?
鈴木仙「乳幼児から高校生に至るまで、市内の子ども達の成長にあわせ歯科健診を適宜、実施しており、成人を対象とした歯科健康診査なども行っています。また地元のニーズに応じて日曜祭日や年末年始、大型連休の際にも休日歯科診療を拡充。さらに全国の歯科医師も注目する検診システムを市内30施設で採用した『口腔がん検診』は昨年度、500人以上の市民の皆さんに利用して頂き、高い評価を受ける事ができました」
鈴木駿「休日急患歯科診療所の運営については、行政からの助成がなくなった事もあり、県歯科医師会の中でも喫緊の課題となっています。そんな中で、海老名市では地域の開業医の方々が先駆者的に休日歯科診療を拡充されており、その取組みは素晴らしく、また頼もしく感じています」
「2025年問題」は?
――今後、団塊の世代が75歳以上の後期高齢者となる『2025年問題』を迎えますが、歯科医師会として対策などを教えて下さい。
鈴木駿「2025年問題については国や県も重要な政策の一つとして医療・介護・生活支援などのサービスが⼀体的に提供される『地域包括ケアシステム』の構築を掲げています。県歯科医師会としては、今後ますます需要が高まる『訪問診療の拡充』や『在宅歯科診療の推進』など、この構想に則った施策が重要になってくるものと考えます」
鈴木仙「高齢化社会になるにつれ『訪問医療』は、欠かせないものになってくるに違いありません。そこで市歯科医師会では地域連携室を立ち上げ、こうした県や国の方針や構想をよりスムーズかつ迅速に地域(海老名)で具現化できるような体制を整えています」
欠かせぬ”連携強化”
――鈴木(駿)会長は先般行われた県歯科医師会の会長選挙の際『地域を支え、地域に支えられる県歯科医師会創り』を掲げておられました。新会長に就任された今、この公約を実現するアイデアはありますか?
鈴木駿「県歯科医師会は、地域歯科医師会を代表する組織として、常に各エリアの動向を把握する必要があり、そのために地域歯科医師会の会長会議の開催や、エリアごとの各種事業担当者による話し合いの場を提供したりしています。こうした従来の取り組みに加え、今後は県歯科医師会のメンバーが各地域の理事会などに参加させて頂き、各エリアの会員と活発に意見交換できる場面を、沢山作っていきたいですね」
鈴木仙「海老名市民の健康寿命を延ばすことが、市歯科医師会の会員全員の願いです。県と地域の組織同士がより連携を深め、足並みを揃えることが結果的に、悲願成就に向けて最も重要な取組みの一つになると思いますので、ぜひこれからも宜しくお願いします」
活動支援、全力で
――最後にそれぞれ今後の抱負、展望をお願いします。
鈴木仙「例えば歯の健康維持が認知症や嚥下(えんげ)障害、誤嚥(ごえん)性肺炎の予防に繋がることを知らない人がまだまだ多いのも事実。そんな『歯の重要性』を今後、しっかりアピールしていくことで地元の健康寿命を延ばせるよう、努めます」
鈴木駿「県歯科医師会はまず、一般社団から公益社団への移行を見据えた環境整備を早急に始めたいと考えています。また前出の地域包括ケアシステムなど、行政の地域医療構想を実現するため、海老名市歯科医師会はもちろん、地域33歯科医師会へのサポートを一層強化。その多岐にわたる活動を、側面から全力で応援していきたいと思います」
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