10ゲーム・12投すべてでストライクを出すパーフェクトゲーム――。ボウリングを愛好する人なら誰もが一度は公式選で出したいと願う夢のスコアを、寺尾中在住の長瀬健さん(80)が達成した。
長瀬さんがパーフェクトゲームを成し遂げたのは、昨年11月24日。厚木ツマダボウルで開催された「第76回ツマダ『はつらつ』リーグ」の6回戦でのことだった。
これまで何度か299点(残り1ピン)を経験していたが、8フレーム目あたりから気付き始め集まるギャラリーのプレッシャーに押し負け、あと一歩及ばずにいたという。「10ゲーム目、1〜2投はいいんだけど最後の一投で気負ったり、指先に力が入ったり…ヘッドピンに当てたのに逃してしまったのは悔しかった」と振り返る。
試合当日は奇しくも、観測が始まって以来初の積雪を記録した日。大会開催が危ぶまれたが、メンバーがそろったため予定通り行われた。
1ゲーム目後半から調子を上げていたという長瀬さん。「いつもなら考えすぎてしまうんだけど、この日は思ったより冷静でいられた」と、当日を振り返る。 来たる2ゲーム目。念願のパーフェクトを叩き出した瞬間、喜びのあまり思わず万歳をしていた。
息子に誘われ、ボウリング熱再燃
長瀬さんがボウリングを始めたのは、中山律子プロが活躍していたブーム真っ盛りの頃。早朝、仕事前に横浜市高島町のボウリング場に足しげく通っていた。
子どもが生まれ一度は遠ざかったが、成人した息子に「ボウリングに行こう」と誘われ、さがみのボールに遊びに行ったのを機に再び火がついた。同ボウリング場に通ううちに仲間が増え、その中の一人から「リーグを立ち上げるから来ないか」と誘われ、現在のツマダボウルにホームを移したそうだ。
今は週に5日ほど厚木まで足を伸ばし、ボウリング漬けの毎日を送っている。毎月変わるレーンコンディションをホームページでチェックしアプローチを考え、自宅での秘密特訓では夫人にリリースの瞬間を撮影してもらいフォームを確認するなど研究に余念がない。
「答えがないのが魅力」
長瀬さんはリーグで高齢の部類に入るが、幾度も優勝経験を持っている。優勝者を集めた「チャンピオン大会」でのグラウンドチャンピオンや、公認ゲームで3カ月間アベレージ200をキープした人に贈られる「スターボーラー」を昨年1月から9カ月間保持するなど、実力は折り紙つき。
普段は社交ダンスの指導者をしているそうだが、「ダンスより好き」と首をすくめる。「思い通りにいかないし、答えがないのが面白い。いつも、ボウリングのことばかり考えている」と、その魅力を語る。
長瀬さんのパーフェクトゲームを記念した大会が2月4日に予定されており、現在は50人ほどの参加を予定しているそうだ。