7月15日に奉納舞を行う三増の獅子舞保存会会長 小林 利彦さん 愛川町三増在住 68歳
獅子舞の歴史感じて
○…県指定無形民俗文化財の「三増獅子舞」。正確な記録は残されていないが、その始まりは江戸時代中頃と言われている。現在、保存会の会員は約30名。地域の伝統文化を伝承しようと、精力的に行事等に参加している。このほか中学校や高校で郷土芸能の講師を務めるなど多方面からひっぱりだこ。「イベントが重なる時は、移動中に食事を済ますこともしばしば」とにこやか。
○…三増の獅子舞は、三頭の獅子が組になって舞うもので、一人立ち三頭獅子舞と呼ばれる。獅子には巻獅子、玉獅子、剣獅子がおり、それぞれ父・母・子を表している。この獅子たちが笛や歌に合わせて胸の太鼓を打ち鳴らしながら舞う。
「京から下る唐絵の屏風 ひとへにさらりとひき申うさいな―」。本来、歌は全部で23節だが、現在は省略したものを披露。それでもおよそ15分に及ぶ。「歌の理解は難しいが、獅子の動きから生まれる空間を楽しんでもらえれば」
○…毎年、7月20日前後の休日に行われる三増の諏訪神社摂社八坂神社の天王祭。この日、地区で保存されている獅子舞は、蔵から出され神社まで神輿とともに道行きし、その後境内で舞を奉納する。愛川町で生まれ育った自身にとって、幼い頃から見続けてきた光景だ。「当時は獅子舞に関わるとは思ってもみなかった」と笑うが、平成9年から会員となり、同17年から会長を務めている。
○…「保存会の活動は周囲の支えがあってこそ」と感謝の気持ちを忘れない。愛川高校で教えた生徒たちが卒業後、保存会に入会してくれるなど後継者の育成も順調。「愛され続ける文化として継承していければ」と目を細める。趣味は野菜づくり。3人の息子たちは独立。小学生と1歳になるお孫さんはかわいい盛りで「いつも遊びにくるのが楽しみですよ」と微笑んだ。