愚庵の人生を一冊に 愛川町の川嶋さんが執筆
愛川町春日台の川嶋隆史さん(83歳)が、「天田愚庵の生涯」(発行・株式会社文學の森/268ページ)を執筆し、今年の5月に出版した。自身に縁のある天田愚庵(あまだぐあん/1854年〜1904年)の一生を10年かけて調べ、一冊にまとめた集大成だ。
天田愚庵は、江戸時代末期から明治にかけて激動の人生をおくった武士。漢詩や和歌にも優れ、俳人の正岡子規にも影響を与えたという人物。戊辰戦争で活躍し、離散した父母と妹の生死を探し求め日本中を旅した。政治家・山岡鉄舟に学び、清水次郎長の養子となった。愚庵の記した「東海遊侠傳」は数々の講談や浪花節の基になっている。
川嶋さんが自身と愚庵の関わりを知ったのは20代の頃。母親から「家系にすごい人がいる」と教えられた。川嶋さんの父から4代遡った祖先・川嶋道弘に嫁いできたのが愚庵の姉だったという。これが縁で愚庵の人生を調べ始めた。
機械エンジニアとして勤めていた川嶋さんだが、「愚庵がどう生きたかを形にして残したい」と、定年してから愚庵の人生をより詳しく調べ、その波乱に満ちた人生と幅広い人脈が織りなすエピソードに深く惹かれていった。東京神田の古書店に何度も足を運んで資料を集め、愚庵の足跡が残る寺社を訪れた。5年ほど前にも一度愚庵についての文章をまとめたが「愚庵の表情が描けていないことを痛感したばかりか、いくつかの補足・訂正箇所があって満足できるものではなかった」と、改めて筆をとった。今回の一冊は「私が調べた10年の集大成」と胸を張る。1日に10時間以上も文献と向き合いながら文章を書く日々が続いたこともあり、「もうこれだけ力を入れた本は書けないかも」と笑う。
執筆した本は、近隣350カ所の図書館に1冊ずつ寄贈したという。「できるだけ多くの人に読んでもらいたかったので、図書館に寄贈するのが目的だった」と話す。
若い頃から俳句を作るのが趣味という川嶋さん。これまでに句集を3冊出しており、俳句に関する寄稿やエッセイ、評論など、文才を如何なく発揮して執筆活動に取り組んでいる。「今も締切が近づいている原稿があるんだよ」と、愛用の机でにっこりほほ笑んだ。
川嶋さんの著書について詳しくは【電話】046・285・3209川嶋さんへ。
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