12年に一度の秘仏公開をした清雲寺の住職を務める 北條 圓居さん 愛川町半原在住 59歳
言葉に熱意秘め
○…臨済宗建長寺派の200以上ある寺院のうち、5つしかない「別格地」寺院の一つである清雲寺。11月2日と3日に行われた12年に一度の秘仏公開では、本堂を埋め尽くすほどの参拝者が集まった。「仏事以外でお寺に人が来るのはとても良い事。いつでも気軽に来られるお寺を目指したい」。琵琶や二胡の演奏会、落語会など、構想は既に心の内にあるようだ。
○…先代の住職が平成12年に亡くなり、同寺の親戚寺院である相模原市緑区の観音寺で住職を務めていた縁で兼任住職として同寺へ。柔和な人柄はすぐに地域の人々の心を惹きつけた。「ぜひ正式な清雲寺の住職に」という檀家からの声は以前からあった。ご子息が正式に観音寺の住職に就任し、今年10月1日から専任の住職となった。「先代の黙然和尚が本堂や庫裡をはじめ傷んでいたお寺をほぼ一新して、本当に良いお寺にしてくれた。遺志をしっかりと引き継いで、お寺を守りたい」。穏やかな語り口ながら、眼差しからは情熱が伝わってくる。
○…あきる野市にある普門寺の3男として生まれた。幼少の頃から朝は住職の父とともに読経する生活だった。檀家さんたちに慕われる父親の背中を見て育った少年は「自分もいつか住職に」と、自然に憧れを抱く。日本大学を卒業後、北鎌倉の円覚寺で4年間の修行を積んだ。「新聞もテレビもない。毎日夜明け前から起きる日々」と振り返る。「お寺の修行は確かに厳しいですが、会社員の方だって毎日大変。その道その道で厳しい所があるのは、皆同じですよ」とうなずく。
○…一男一女に恵まれ、長男は自身の後を継いだ。「やっぱり嬉しいね」と満面の笑み。「私の父も、私たち兄弟を住職にしたかったんだと思う。今はその気持ちが良くわかる」と目を細める。バイクが趣味で4日間かけて北海道一周旅行をしたこともあるが、今は夫人とゆったり温泉めぐりが休日の過ごし方だ。