愛川町農友クラブの会長を務める 五月女(そうとめ)智一さん 愛川町半原在住 39歳
責任感あるロマンチスト
○…20代から60代まで幅広い年代の農家で組織する愛川町農友クラブ。米、果物、酪農、野菜など22人のメンバーが手掛ける農作物は様々だが、農家同士で活発に交流し仕事で抱える悩みを解消し合う。「若手は無農薬など時代のニーズに合わせた野菜の生産にとても熱心。先輩農家も温かく見守ってくれて、困ったときには真剣に助けてくれる。本当にありがたい」。世代を超えたスクラムがガッチリとかみ合い、愛川町の農業を支える。
○…花農園の従業員だった父が独立し「愛川園芸」を半原に開業。これを機に愛川町に移り住んだのは3歳の時だった。地元の学校に通い厚木高校から信州大学へ。農学部だったが在学中にビジネス関連の本を読むのが好きだったこともあり「東京で就職したい」と、卒業後は就職情報会社に入社した。当時はインターネットが急速に普及していた頃で、波に乗る会社のシステムエンジニアとして腕を振るった。
○…転機は32歳の時だった。父が体調を崩し、農園の将来について真剣に向き合うきっかけとなった。「やりたいことをやらせてもらって、仕事も10年経って一区切りついていた」。心の中でこの先に進む道の答えは出ていた。現在は約30種の花を出荷する同農園の切り花・ハーブ担当として、両親とともに毎日汗を流す。農家に生まれ、一度外の世界を見てきた。ベテランと新規参入の両方の気持ちを汲むことができる。そんな自身に今年4月、会長として白羽の矢が立った。「技術と知識を受け継ぎ若手を支える。そのために中間である私たちの世代が頑張らないと」。穏やかな口調だが言葉に固い決意を込める。
○…趣味は小学校の頃から好きな天体観測。皆既日食を見にトルコやロシアまで足を運んだことも。「富士山まで行くと降るような星が本当に綺麗」。星の魅力を語りだすと、舵取り役の引き締まった表情が少年のような笑みに変わる。