大矢孝酒造(株)(愛川町田代)の純米酒「残草蓬莱」が南部杜氏協会主催の鑑評会で優等酒に入賞した。同銘柄はこの鑑評会で3年前に主席、一昨年と昨年は2位と、連続で上位を獲得。今年は上位入賞を逃したものの、神奈川県の酒蔵として唯一の入賞を果たした。
全国規模の杜氏組織である同協会が主催する「南部杜氏自醸清酒鑑評会」は、酒造技術の研鑽と資質の向上を目的に毎年行われているもの。1911年から続く伝統の鑑評会で、今年で96回目。
今回は全国150の蔵から吟醸酒341点、純米吟醸酒201点、純米酒147点の出品があり、4月7日から10日にかけて審査が行われた。
審査は国税局鑑定官室の鑑定官や、岩手県工業技術センターの醸造技術部長、日本醸造協会の代表理事会長、宮城県酒造組合の技術担当参事など27人が行う。第1審から第3審を経て決審が行われ、3部門ごとに「上位入賞」と「優等酒」が選ばれた。
今年の入賞酒蔵を都道府県別に見ると、3部門ともに例年通り岩手県や宮城県など東北勢の入賞が目立つ。神奈川県の酒蔵で入賞に選ばれたのは、3部門を通しても大矢孝酒造のみだった。
同蔵の残草蓬莱は「料理と一緒に楽しめるお酒」として、端麗なスッキリとした飲み心地が特長だ。料理との相乗効果を意識してあえて香りを穏やかに仕上げている。
香りの高い酒が評価されやすい鑑評会にあって、香りを抑えた残草蓬莱の入賞は確かな味の評価ともいえる。8代目蔵元の大矢俊介さんは「香りを抑えながら決審まで残れたことは、良い評価を頂けたと言えるのでは」と入賞の感想を話す。
文政13年(1830年)創業、180年を超える老舗の酒蔵である同蔵では、伝統を守りながら新たな挑戦も続けている。
今年4年目を迎えた生原酒の「しぼりたて」もその一つ。18%から19%と、原酒ではどうしても高くなりがちなアルコール度数を12%にまで抑え、飲みやすくした商品を開発している。「これからも皆様に飲んでいただける良いお酒を造り続けたい」と大矢さんは笑顔を見せる。
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