見つめ直そう 平和の尊さを 厚木市長 小林常良
昭和24年4月、私は戦後に生を受けました。川や田畑など豊かな自然の中で、わんぱくに過ごした少年時代。少し前まで行われていた戦争のことを、生活の中で意識することはあまりありませんでした。
自宅に近い内陸工業団地の場所に、陸軍の中津飛行場があったと知ったのは10歳くらいだったでしょうか。父や母から特攻隊の出撃やB-29爆撃機が近くに飛来した話を聞き、身震いをしたのを今でも覚えています。「もし戦争が長引いていたら、僕も特攻隊員になっていたのかも…」。そう思うと毎日の暮らしが急に尊く思え、家畜の牛や山羊、蚕の世話にも思わず力が入ったものです。
先日、小型飛行機が住宅街に墜落する事故がありましたが、父や母、近所のおじさん、おばさんは米軍機の爆撃におびえ、同時に陸軍機が頭上を行き来する恐怖とも隣り合わせだったのだと思います。
世界にはまだまだ紛争地帯があり、爆撃や略奪におびえながら暮らしている人たちがたくさんいます。その恐怖がどんなものなのか。残念ながら、私には想像すらできません。
毎日を大切な人たちと泣いたり笑ったりして過ごし、おいしいご飯を食べ、一日の眠りにつく。それがどんなに幸せなことか、平和な世界に生きる私たちはもっと自覚するべきでしょう。
私は平成19年から、厚木市長の重責を担わせていただいています。その最大のミッションは、「市民の皆さんの生命と財産を守ること」です。戦後70年の節目を迎えたいま、平和の大切さをみんなで見つめ直し、より安心・安全な社会の構築に向けて進んでいくことは、戦争の苦い体験を引き継いだ私たちの務めだと思っています。
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