市内長瀬に今春、乳児院「しらかばベビーホーム」と児童養護施設「しらかば子どもの家」が開設される。市内で乳児院の設置は初めて、児童養護施設は2ヵ所目となる。定員はそれぞれ25人と40人。経済的な理由や家庭の事情などで親が育てられない子どもや、虐待を受けた子どもを預かり養育する。
設置・運営を担うのは社会福祉法人誠心会(浜田徹理事長)。市内で保育園や障がい者の通所施設を運営するなどこれまで様々な福祉サービスを展開してきた。
平成18年に横須賀市児童相談所が新設されてから、市では子育て支援策の柱として「乳児院・児童養護施設等の一体的・効率的な運営が可能な施設整備が重要」と考え、開設に向けて同法人と準備を進めてきた。
敷地面積は約1,750平方メートル。施設は3階建てで、延べ床面積は1,525平方メートルとなる。建物内に両施設の機能を備えるほか、子育て短期支援事業で虐待の予防や一時避難所としてショートステイ(事前登録制・定員4人)を設置する。
「ベビーホーム」では親と暮らせない0歳から2歳児までの乳幼児を預かるのに対し、「子どもの家」ではおおむね2歳から18歳までを対象とする。どちらも保護者が健康的・経済的な問題を抱えているか、虐待を受けているなどの状況にあり、児童相談所が施設で養護する必要があると判断した子どもを受け入れる。
”越境”から市内養育へ
横須賀市内では乳児院の設置は同ホームが初めて。児童養護施設は小矢部にある「春光学園」に加えて2ヵ所目となる。同学園では現在2歳から18歳の子ども85人の定員に対し、市外の児童も受け入れるため、市内からの児童は44人でほぼ空きがない状態が続いていた。このため、児童相談所が施設での養護が必要と判断した児童でも、これまでは市外への”越境入所”を余儀なくされるケースが少なくなかった。乳幼児に関しても同様だった。
新設の「こどもの家」では従来、児童養護施設では中高生のプライバシー確保が難しかった問題に、定員の半分(20人分)に個室を用意、6LDKのユニット体制で対応するなど、より家庭環境に近い形での養育を目指すという。
虐待児童の保護に期待
横須賀市児童相談所が平成21年度に受けた児童虐待に関する相談件数は274件。人口10万人あたりの件数で換算した場合、横須賀市は全国平均の2倍の数字になる。そのうち、緊急避難として「一時保護」措置となったのは136件。
今回の両施設の開設によって、保護者の病気や離別、虐待などにより家庭で養育を受けられない子どもたちを保護する受け皿が市内に広がる格好となる。
市担当者は「継続して同じ地域や保護者の元で暮らせる環境ができやすくなったことで、子どもにとってよりストレスが少ない形での養育が可能になると期待している」と話した。
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