1月30日から2月5日まで、市文化会館で展示会を開く横須賀美術協会会長 有川 義明さん 鴨居在住 76歳
無我の境地で”深み”を見せる
○…水彩、油絵、風景、静物、抽象…。表現方法もモチーフも限定していない。約115の”個性”がずらりと並ぶ「横須賀美術協会(YB)会員会友展」。もちろん、協会会長として自身の作品も出展する。表現したのは、貝殻と漁。海のものにして、そこは海にあらず。キャンバスの上で生み出された両者が、油絵によって独特の奥行きと立体感を見せる。
○…絵を描くようになったのは戦後間もなく。三浦高校で美術部に入ったのがきっかけだった。水彩で描いた”当時の風景”。「あの頃は衣笠駅や学校周辺に田んぼが広がり、目の前に山が見えました」。衣笠駅の駅長に作品を気に入ってもらい、駅長室に飾られたこともあったという。当時九州在住だった奥さんとも美術が縁で知り合った。文通をしながら友情を深める「郵便友の会(現在の青少年ペンフレンドクラブ)」で手紙のやりとりをしていたという。「今で言うところの携帯メールですかね」と微笑む。
○…消防隊員として働き始めてからは絵を描く時間がなかなかとれなかった。仕事がひと段落し、再開できたのは今から約30年前。浦賀の公民館で油絵の初心者講習を受けたのを機にのめりこんでいった。当初、綺麗に咲くアジサイをモチーフに描いていた所、花が枯れドライフラワーになってしまった。しかし、水分が失われた花にこそ表情があり、複雑で面白い光を発していることに気づいた。絵の具を重ねる油絵でより「深み」を表現できる。それが、面白さだという。
○…現在、自宅の2階にアトリエを構え、作品を生み出す日々。「描いている時は無我の境地になれます。完成した時の達成感は何ものにも代え難いですね」。周りからは「静物画の有川さん」と呼ばれるほどの芸術家。その一方で、お孫さんの前では優しいおじいちゃんの顔も見せる。そうした人柄の良さや人間としての”深さ”も、皆から好かれ、頼りにされる理由だろう。
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