がん体験者が聞き役に 横須賀共済病院で「ピアサポート」
がん克服のための総合対策として「がん対策推進アクションプラン」を進めている神奈川県では、昨年7月からがん体験者による支援(ピアサポート)を行っている。県内2ヵ所に加え、来月から横須賀共済病院でも同事業を開始。がん患者とその家族を対象に、不安の解消と、療養生活の質向上を図るのが狙いだ。
県の「がん対策」では、たばこ対策・早期発見のための検診体制の整備・がん医療と地域での患者支援―の3つを柱に取り組みを進めている。その中で、NPO法人「キャンサーネットジャパン」との協働事業で始まったのが「ピアサポート」だ。同法人は、がん患者支援団体として、がん医療の普及・啓発活動やがん体験者による講師養成を行っている。
ピアサポートの「ピア(Peer)」とは、仲間・同等を示し、 同じような境遇やよく似た体験をもつ者同士が助け合うことを意味する。患者が抱えている「がんの告知で動揺している」「再発に対する不安がある」「家族や職場に、どのように話せばいいのか」―といった気持ちを、がん体験者に話すことで不安を解消し、安心を得ることができる場として設置が広がっている。治療や医療制度の相談(プロサポート)と併せてこうした体制を整えることで、療養生活の質の向上につながることも期待される。
悩みや思いを共有
県内では、「かながわボランタリー活動推進基金21共同事業負担金」を活用し、昨年7月からJA神奈川県厚生連相模原協同病院(相模原市)と「KADOBEYA」(横浜市中区)で事業が行われている。相模原協同病院では、開始から延べ172件の利用があったという。院内の患者総合支援センターに相談場所を設けたことも奏し、「ただただ悩みを話せる場がほしかった」と徐々に利用者も増えている。
横須賀では、10月6日(木)から横須賀共済病院(米が浜通1─16)で事業が開始される。同院は相模原協同病院と同様に、地域がん診療連携拠点病院に指定されており、専門的ながん医療に携わる医療スタッフを配置。乳がん認定看護師による相談・ケアなど、患者支援窓口を開設し、サポート体制の充実を図っている。
がんの治療は、医療面だけでなく精神的な負担も大きく、体験者にしか分からないことも多い。同院の連携医療推進課では「家庭や職場のことなど、医療従事者には話せない悩みを語り合い、治療やその後の生活を前向きに捉えることに繋げてほしい」と話す。
同院では、外科外来棟の一角に相談スペースを設置。同NPOから乳がん体験者が派遣され、週1回の実施となる(毎週木曜日午前10時〜午後3時)。予約は不要で無料、電話での相談は行っていない。詳細は、同課【電話】046・822・2710へ。
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