前回では、保育所(園)の仕組みと役割、横須賀市内の現状について説明した。では、保育所と対比されることの多い「幼稚園」はどのような施設なのか。「子育て支援」という意味合いで、どういった役割を持っているのだろうか―。
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幼稚園は自治体や学校法人などが運営し、満3歳から就学前の幼児が通う。小学校〜大学などと同様に、学校教育法で位置づけられている教育機関であり、管轄官庁は文部科学省。保育内容は、「幼稚園教育要領」に定められ、健康・人間関係・環境・言葉・表現の5領域をベースに、1日4時間程度の保育を行う。創立者の教育理念によって特色があるのも幼稚園の特徴。教育思想家の理念を取り入れている園、特定の宗教を保育方針に取り入れている園など、教育機関としての個性も様々だ。また、制服や給食の有無、立地環境や施設・設備、通園手段も違いがあり、保護者と子どもは、それら条件から園を「選ぶ」という立場にある。
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横須賀市には公立幼稚園が2園、私立園が37園(うち横須賀市私立幼稚園協会加盟園は30園)あり、私立園の園児数は約6800人(2011年度)で「微減の傾向」。子どもの絶対数が減る中で、幼稚園でも「子育て支援」の施策が広がる。その1つが「預かり保育」。幼稚園は保育時間が短く、共働き家庭などが入園するのは難しいとされていたが、時間外の早朝(午前7時頃〜)や夕方(午後5時頃まで)と、長期休暇などに「預かり保育」を行っている施設が増えている(実施時間は園によって違いあり)。3歳児以上の保育所待機児童を減らすという目的もあり、2008年の教育要領の改訂で「教育時間の終了後等に行う教育活動」が明文化された。「設置は強制ではないが、大半の園が実施している」と横須賀市私立幼稚園協会の今井会長は話す。ただ、横浜市では私立園預かり保育事業として園・保護者への補助があるが、横須賀では県から私立園への推進費助成のみ。園側の経費・保護者の保育諸経費の負担減も今後の課題と言われる。
また近年、未就園児に対するプレ教室や園庭開放を行う園も増えている。「集団生活に慣れる」「園の雰囲気を知りたい」といった入園前の不安を解消するだけではなく、地域での子育て支援の側面も大きいという。「保護者や地域の人々に機能や施設を開放する〜(中略)地域の幼児教育センターとしての役割を果たすよう努める」と前述の教育要領でも記されているように、「保育・教育のノウハウを持っている幼稚園を、地域の方も活用してほしい」と今井会長も話す。従来は、通園児と保護者だけのもの―というイメージのあった幼稚園。その機能・施設の利用が、地域の新たな子育て支援環境を生み出しつつあるようだ。
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