上下水道サービス 公・民で新会社設立へ 市と民間の共同出資で来年1月
新会社設立の背景には、水道、下水道事業の厳しい財政状況がある。横須賀市上下水道局の「水道事業・下水道事業マスタープラン」などによると、市の人口減少よる水需要減などを背景に、両事業ともに収益の増大が見込めず、2014年度には赤字に転落することが予想されている。
このため市では、市民サービスの向上と財政基盤の強化を両立するためには「公が主導する現行の事業運営の枠組みから脱却し、大きな転換が必要」(吉田雄人市長・2月29日市議会本会議)とし、新たな行政経営モデルの取り組みとして公民連携の新会社を設立する方針を示した。
新会社の資本金は7500万円。水道、下水道は市民にとって欠かせないインフラであるとの考えから、同局が3分の2の5000万円を出資し、新会社の経営に関与する。民間からは、「プロポーザル方式」(公募による提案)で共同事業体を選定。2500万円を出資させる。また、経営手腕のある人材を社長として公募するという。
市は新会社と単年度の随意契約を結び、事業の実施期間は10年間としている。その上で新会社は新たに上下水道サービスの「総合窓口」を開設する。現行では漏水調査は上下水道局、水まわりのトラブルは指定工事店などと、異なっていた相談窓口を一本化。ワンストップで対応する。また、「水まわりのホームドクター」として、給排水装置の点検や修理を行い、指定工事店への発注もする。この他、走水水源地の湧水を活用したペットボトル水の製造、販売を手がける方向だ。
民業圧迫との指摘も
一方、今月23日の予算決算常任委員会の総括質疑では、この新会社設立に関して取り上げられた。
青木哲正氏(新政会)は公平性や競争性の観点から「市民から見れば、(新会社は)市の子会社だと思い、信用して(修理業務などの)仕事を頼む。他の業者にとっては、市民からの仕事を受注する機会が無くなり、実態として民業圧迫になる」と指摘。これに対し吉田市長は「さまざまな事業者が一般家庭に営業訪問している。選ぶのは消費者」との認識を示し、民業圧迫には当たらないと答えた。
この日、2012年度水道、下水道両事業会計の当初予算案の原案は賛成多数で可決されたが、採決の結果は20対18と僅差だった。さらに、27日の本会議で予算案が正式に可決。市では来年1月の新会社設立と、同年4月の事業開始をめざす。
横須賀市は来年1月、公民共同出資による新会社(仮称)「株式会社よこすかウォーターサービス」を設立する。上下水道サービスの総合窓口を開設し、水まわりに関する問合せの窓口を一本化。漏水などの調査、修理や工事店への発注も行う。関連費用が計上された2012年度当初予算案は、今月27日の市議会本会議で賛成多数で可決された。
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