「渚の流木ワンダーランド」と題した作品展(アートカフェ シャザーン/4月2〜8日)を開く 馬場 正さん 船越町在住 62歳
流木が僕に語りかける
○…横須賀の西のはずれ。佐島の先の小さな水路にかかる「天神橋」を渡るとこじんまりした静かな浜辺に行き着く。打ち砕かれた貝殻でできた白砂は太陽に照らされてキラキラと輝いている。「注意深く歩いていると様々な発見と出会いがありますよ」。漂着物を拾い集めてコレクションするビーチコーミングを20年以上続けてきた。対象は貝殻に人工物、そして流木。今回の作品展では天神島周辺に流れ着いた流木を用いたアートで渚の薫りを表現する。
○…天神島臨海自然教育園に30年来勤務している。管理区域内の清掃業務などを通じて漂着物の多様さに気が付いた。魚の骨に珊瑚の欠片。波に洗われ擦りガラス状になったビーチグラス、江戸時代のものと推測される陶器の破片もある。その中で一番興味を引いたのが流木だった。一つひとつに表情があり、形状を活かせばそのままアートになるからだ。「(木の)節が魚の目玉のよう。裂け目は鳥のくちばしかな。手にした瞬間、作品のイメージが涌くんです」
○…海好きが高じて16歳でサーファーに。サーフボードを括りつけた荷台をバイクに引かせて七里ガ浜に通い詰めた。その後訪れたサーフィンブーム。多くの人が技術を競うコンテストをめざしたが、それには馴染めなかった。あるとき分かった。「サーフィンの真髄は自然との調和。ボーッと波間に浮かんでいるだけで心が洗われるような気分になります」。そして今も現役。週に1〜2度の海通いを続けている。
○…温厚な性格と実直な勤務ぶりで地元の人からは「島守り」(しまもり)と呼ばれている。「海と自然に魅了され続けてきた人生だけど、天神島はことさら気持よく過ごせる場所」。自生するハマユウの素朴な美しさ。浜の目の前にある磯には小魚ややどかりが沢山。その先には笠島が浮かぶ。今日は何が流れ着くか─静かに待っている。
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