ムクドリ飛来で住民困惑 苦情あがるも対応に苦慮
市内根岸町でムクドリによる被害が広がっている。毎年、秋口から冬に集団ねぐらを作るためで、近隣の住民からはフン害や鳴き声の騒音に苦情も出ている。しかし、法律で捕獲が原則禁止されていることなどから地域も行政も対応に頭を悩ませている。
ムクドリはかつて里山や竹林などに多く見られ、田んぼや畑の害虫を食べる益鳥として人間と共存してきた。しかし、全国的に里山の減少や生態系バランスの崩れなどから、中心市街地での生活に適応して都市化している。
北久里浜駅前や商店街、根岸交通公園は比較的暖かく、ムクドリの天敵であるフクロウなどの猛禽類が少ないことから恰好のねぐらとなっている。市内では過去に追浜の横須賀スタジアム周辺や横須賀中央駅前、JR久里浜駅前への飛来も確認されている。
根岸町の住民からは数百から数千羽にも及ぶムクドリによって、「フンが通行人や車に落ちてくる」「臭いがする」「抜け落ちた羽が散乱する」といった苦情があがっている。集団化していることで鳴き声による騒音被害も発生。活動を始める早朝とねぐらに帰ってくる日没時刻は「ギュルギュル」という独特の鳴き声が大音量で辺り一帯に響き、悩みの種のひとつとなっている。同公園を管理するシティサポートよこすかでは、子どもたちが遊ぶ園内の衛生を保つため、汚れがひどい部分を高圧洗浄機での洗浄で対応している。
有効策なく
落葉樹を好むムクドリは公園内のケヤキやサクラを集団ねぐらとしている。それらの木に鳥除け磁石の設置や定期的な樹木の剪定を行うことで一定の効果を得ているが、周辺の木々に分散して移動するなどいたちごっこの状態。公園側は今後も景観や環境を損ねない方法で適宜対策を取りたいとしているが、ムクドリは鳥獣保護法によって保護され、農作物の食害や人に甚大な被害が出ているなどの例外を除き原則として捕獲することは禁止されているため根本的な解決が難しいのが現状だ。公園がある根岸町3丁目の山田敏一会長も「以前は住民の間でも頻繁に議論されていたが、打つ手がなく困っている」と話す。
なぜ、この地域に集まってくるのかは不明だが、日本野鳥の会神奈川支部によると「ムクドリは前年に安全だったねぐらへ再び戻ってくる習性があり、外敵がいない根岸交通公園周辺は居心地の良い場所と認識しているのではないか」と推測している。
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