今月、開館20周年を迎えたカスヤの森現代美術館の館長を務める 若江 栄戽(はるこ)さん 平作在住
「現代美術をもっと身近に」
○…閑静な住宅地にひっそりと佇む「カスヤの森現代美術館」。「難解なイメージで敬遠されやすい現代美術に親しみ、人々の身近な存在にしたい」と自宅敷地内に開いた同館は、今月1日にオープン20周年を迎えた。これまで120を超える様々な企画展を開催し、そのなかには以前から親交のある草間彌生氏といった世界的な芸術家も名を連ねる。
○…中学時代、美術に興味を持ち、高校生になると画塾に通い始めた。そこでは後に横須賀美術館の初代館長となる島田章三氏に師事し、油彩画をはじめとした美術のイロハを学んだという。1975年、渡航先のドイツで訪れたギャラリーに感銘を受け、私設美術館の開設を決めた。帰国後、夫で現代芸術家の若江漢字氏と二人三脚で奔走。構想から約20年後の1994年、横須賀市内で初の美術館としてついに夢の実現を果たした。
○…館内に一歩入ると数多くの現代アート作品と出会うことができる。金属ワイヤーの彫刻、グランドピアノを使った造形作品、幾何学模様が描かれた絵など見る者の知性と感性をじわりと刺激してくれる。「『いいな』と思うまで時間はかかるけれど、作者の真意を見つける面白さもまた、現代美術の魅力」と語る。固定観念にとらわれず個性的な表現方法ゆえ、奇抜で理解不能とも揶揄される現代美術。その未来を憂う。
○…多彩な所蔵品に引けを取らないもう1つの自慢は四季折々の草花が咲き誇る約2千坪の庭だ。「自然とアートの一体化」をコンセプトに石像や彫刻が置かれ、そこには私設美術館ならではのセンスが光る青空美術館が広がっている。肩肘張らず散策気分で楽しむ人も多く、「今では『仕事の合間にちょっと一服』って通う人もいるくらいよ」と朗らかに笑う。「現代美術をもっと身近に」。一念発起した当時から貫き続けるモットーを胸に、次の20年も魅力を発信していく。
|
|
|
|
|
|