横須賀市 ICT分野の起業後押し 「ヨコスカバレー構想」始動
「起業や新事業のスタートアップを横須賀で」―。情報通信分野の最先端研究拠点であるYRPを有する横須賀市では、地域経済の活性化を促す『ヨコスカバレー構想』を打ち出している。IT企業が集積するアメリカのシリコンバレーを模したもので、YRPをはじめとした市内全域で、ベンチャー企業・事業を誘致しようという試み。今日27日(金)には、市内でキックオフセミナーも実施される。
横須賀市では、ICT(情報通信技術)関連の企業に対して、今年度から小規模事業者への助成(1社あたり100万円)を開始。市外で1年以上の操業実績がある中小企業(従業員3人以上)を対象に、ICT分野での起業や新事業の展開を積極的に支援する。「スタートアップに際して、大きな資本の必要がない企業や、革新的な事業を起こそうとする人に横須賀を選んでほしい」と吉田市長が話すように、若い企業家のUターン・Iターンを促し、小さい規模でも優れた技術を持っている企業が活躍できる環境を提供するのが目的だ。
また、拠点をYRPに限定するのではなく、横須賀の自然豊かな環境も魅力の一つとして、市内全域への誘致を目指す。市では谷戸地域の「空き家バンク事業」を行っていることから、住居兼事務所というような形での支援も考えている。
同様に、IT企業が集まる都市として、注目されているのが鎌倉市。「カマコンバレー」と名付けられ、鎌倉を拠点にIT企業などが協働でプロジェクトを行っている事例もある。市ではこうした実例を参考にしながら、連携も探っていくとしている。
「横須賀で起業を」
27日に横須賀商工会議所で行われる「キックオフセミナー」では、吉田市長による支援事業のプレゼンテーションのほか、専門家による基調講演、市内のベンチャー企業による体験報告が予定されている。今後は、横須賀市ほか全国3県4市が参加する「スタートアップ都市推進協議会」によるマッチングイベントへの出展支援など、ビジネスチャンスの拡大を後押ししていく。
「バレー構想」以外にも、市では創業セミナーや創業オーディションを実施しているほか、産業振興プラザに創業支援オフィスを設けるなど中小企業の誘致に力を入れる。「横須賀には多くの支援メニューと選択肢がある。ぜひこの地で起業を目指してほしい」と市経済企画課は話している。
中央にコワーキングスペース
NPO法人「横須賀創造空間」は今月16日、横須賀中央に会員制の交流オフィス(コワーキングスペース)「ヨコスカテラス」を開設した。民間団体によるコワーキングスペースの設置は、三浦半島地域では初めて。フリーランスや起業を目指す人、オフィスを持たずに働く「ノマドワーカー」などを想定。パソコンを自由に持ち込めるほか、ミーティングルームなども備える。「仕事場としてだけでなく、異業種間の情報交換や人脈作りに活用してほしい。新たな事業のアイデアなど、発展も期待したい」と同代表の藤野さん。同スペースでは、平日夜と週末は勉強会や地域活性のイベントなど=写真=、会員以外も利用できるようにしている。
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