東京お台場にある「船の科学館」が所有する戦艦陸奥の主砲を建造の地である横須賀に「里帰り」をめざす運動が始動した。小泉進次郎衆議院議員を筆頭発起人とする「陸奥の会」が、移設費などをねん出するための募金活動を近くスタートさせる。今月8日の会見で小泉氏は「日本の近代化は横須賀の歴史そのもの。工業技術や海洋開発発展の象徴として主砲の移設を実現させたい」と意気込んだ。
2016年秋の移設めざし
陸奥主砲の移設をめざす
陸奥の会の発起人は6人。吉田雄人市長や平松廣司商議所会頭など地元政財界の有力者が顔を揃える。今年5月の発足直後から「里帰り支援」賛同の署名活動を展開し、全国から2万5千筆を集めた。
戦艦陸奥は1921年(大正10年)に横須賀海軍工廠で建造され、1936年(昭和11年)の大改修で今回移設を求めている4番砲塔を搭載。太平洋戦争末期に原因不明の爆発で瀬戸内海沖に沈没したが、戦後船体が引き揚げられ、主砲の1門が船の科学館に展示されるようになった。
横須賀移設をめざす背景には、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定がある。船の科学館のある敷地一帯で大規模な再開発計画が持ち上がり、展示されている主砲の撤去が取り沙汰されているのだ。一連の話を森崎在住で元統合幕僚長の齋藤隆氏が聞きつけ、移設運動の口火を切った。同会では、砲塔建設から80周年となる2016年の里帰りを目指しており、候補地のひとつとしてヴェルニー公園を挙げている。今月4日には主砲の管理者である日本海事科学振興財団に集めた署名と要望書を提出、移設に向けた交渉をスタートさせている。
その一方で、ネックとなるのが移設費用。同会では概算で3000万〜4000万円を想定しており、有志からの浄財で賄う計画。商議所では、市内の事業者に呼びかけ、関連グッズや飲食メニューの開発を急ぐ。全市的な応援ムードの醸成を図りながら募金活動を展開していくという。
齋藤氏は「陸奥主砲は単なる鉄の塊ではなく、西洋の工業技術と日本に古くからあった製錬技術が融合した結晶。近代化の歴史を支えたそのもの」と持論を展開。小泉氏は「歴史遺産の宝庫である横須賀・三浦半島をひとつのテーマパークとして捉えるような大きなビジョンを描きたい。陸奥主砲の里帰りを実現に向けた号砲としたい」と展望を話した。
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