国際ロータリークラブ第2780地区大会 1500人のロータリアン横須賀へ
社会奉仕活動を世界規模で展開しているロータリークラブ(RC)「第2780地区」(渡辺治夫ガバナー)の地区大会が今月18日・19日の両日、よこすか芸術劇場をメーン会場に開催された。RC第2780地区は、神奈川県内の三浦半島から湘南・県央・県西の各地区64クラブ、総勢2300人の会員で組織。地区大会が横須賀で開催されるのは2011年以来、3年ぶり。エリア内から約1500人の会員同志が結集し、互いの活動を報告し合いながら親睦を深めた。記念講演には、横須賀出身で元内閣総理大臣の小泉純一郎氏が登場した。
会員増強、認知度向上、寄付の獲得
ようこそ横須賀へ−−。
今回の地区大会では、「横須賀ロータリークラブ」がホストを務め、会員がもてなしに奔走した。本会議をはじめ、青少年や留学生とメンバーが「アフリカを知る」をテーマに一緒になって学ぶ新世代交流会の運営を手掛けたほか、国際ロータリーの理事経験者で、現在は米山記念奨学会理事長の小沢一彦氏(市内在住)が「地区指導者育成セミナー」の講師を務める場面もあった。アトラクションとして、防衛大学校儀仗隊によるファンシードリルの演武や記念艦「三笠」の見学会など、“横須賀らしさ”を前面に打ち出す企画も用意され、会員から好評を博していた。
本会議では渡辺ガバナーが挨拶。「歴史を積み重ねながら成長を遂げたRCの存在を誇りに思う」と切り出し、日本のRCの創設者である米山梅吉氏(1868〜1946)と横須賀との浅からぬ縁を紹介した。
米山氏は、明治〜昭和にかけて銀行家として活躍した人物。明治期前半にアメリカに留学した経験があり、そこで日本開国の祖であるペリーの功績に感銘を受けたという。1901年に久里浜に建てられたペリー来航の記念碑は、米山氏らの働き掛けで誕生したもので、「当時から国際親善・国際平和に向かって行動していたことを認識しておきたい」と語った。
渡辺ガバナーは、任期中に取り組む2780地区の重点実行目標の進ちょく状況に関する報告も行った。
喫緊の課題とする会員増強は、目標としている252人に対して、「現在124人の入会があり、順調に推移。魅力あるクラブづくりが会員拡大に直結する」との持論を展開した。
2つ目に唱えたのは、公共イメージと認知度の向上だ。RCに関するアンケートで、「存在そのものを知らない人が50%、活動内容を理解していない人が30%と、大半の人が認識していない」という現状を捉え、麻薬撲滅、ポリオ撲滅を呼びかけるキャンペーン活動を今年度、エリア内53の地区で実践していく方針を力強く述べた。
最後はRC活動を支える寄付の獲得について明言。金額の多寡ではなく、会員一人ひとりの意識向上と行動の実践を呼びかけた。
「政治の決断で前進する」
脱原発で“小泉節”健在
記念講演の壇上に立った小泉純一郎元首相は往年を彷彿とさせる演説を繰り広げた。“小泉節”は健在。「日本の歩むべき道」をテーマに、自らが掲げる脱原発・自然エネルギーの推進などを訴えた。概要は以下の通り。
* * *
これまで「原発はコストも安く、安全だ」と信じられてきたが、福島の原発事故でこれが嘘だったと、間違いだったと分かった。疑問を持ち、自分なりに勉強すればするほど、日本で原発はやるべきではないと確信を持ったから今、原発ゼロを掲げている。原子力に頼らなくとも今、エネルギー資源は太陽・風力・石炭火力など沢山ある。過去に日本人は石油ショックや大震災といった逆境をはねのけてきた。ピンチをチャンスに変える力があるのだ。政治の決断によって、原発ゼロの自然エネルギー循環社会をつくることができると確信している。
私はもう政界を引退したが原発ゼロ推進という新しい仕事ができた。まだまだこれからだと思っている。歴史に残る政治家に尾崎行雄さんという方がいて、「人生の本舞台は常に将来に在り」と言葉を残している。史上最多の当選回数や議員勤続年数を誇り、晩年まで将来のことを考え、向上心を持っていたそうだ。何歳になっても将来のために行動すべし。その言葉どおり、これからも脱原発を提唱していく。
ロータリークラブ活動報告
横須賀市内では、4つのロータリークラブ(横須賀RC・横須賀北RC・横須賀西RC・横須賀南西RC)が活動。全国規模で取り組む、青少年留学生の派遣や受け入れに、ポリオ撲滅を掲げた「END POLIO NOW」では資金的な援助にとどまらず、会員が現地を訪れてワクチンを提供するなどしている。これに加えて、各クラブが独自のテーマに基づき奉仕や支援に積極姿勢で挑む。
横須賀RCでは、「1万メートルプロムナードクリーン作戦」と題した地域貢献イベントを毎年、実施している。ヴェルニー公園、横須賀美術館、京急浦賀駅、横須賀商工会議所、三浦学苑、湘南学院の各ポイントに分かれ、ゴールの海辺つり公園まで散策を楽しみながら沿道のゴミを拾い集めるもの。地元高校生やボーイスカウトも協力、年々規模は拡大し、500人を集める春の一大イベントとして定着した=写真。北RCでは、地元追浜で催される「おっぱままつり」に参加。地域との交流を深めながら、RC活動の周知に励む。病院が多数立地する土地柄を活かし、医師を招いて市民向けの健康講座を実施する。西RCは、児童養護施設の春光学園の児童を引き連れてサマーキャンプを実施。世代横断型の交流を継続的に行っている。
「新世代育成」で組織活性化
ロータリークラブでは、新世代の育成にも力を注ぐ。インターアクト(12歳〜18歳)、ローターアクト(18歳〜30歳)と世代を区切って、奉仕と国際理解に貢献する“ロータリーの精神”を伝達している。19日に行われた青少年交換会では、第2780地区のアクトメンバーと支援留学生が一堂に顔を揃えた=写真。
全国で行われている奉仕活動の事例は枚挙に暇がなく、特にインターアクトでは、学校周辺の清掃、校内でのあいさつ運動、地域イベントの支援など、社会参加を通じて多くの学びを得ている。
同地区では今年9月、三浦学苑インターアクトクラブが誕生した。地区内で12番目となり、ロータリークラブと連携しながら活動を展開していく。
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