普及と共に利用者の低年齢化が進むパソコンや携帯電話。近年では小・中学生の間でも、インターネットなどに関わるいじめやトラブルが増加していることを受け、横須賀市教育委員会は有害情報から子どもを守る対策会議を今月18日に行った。会議には学校、PTA、有識者らが出席。トラブルの防止策や、学習・生活指導のあり方を協議した。
ネット依存、出会い系サイト、いじめ・誹謗中傷、興味本位の画像・動画投稿、有害サイトの閲覧、課金ゲーム、個人情報の流出など、携帯電話やインターネットに関わる小中学生のトラブルが深刻化している。
昨今、小学校中学年から携帯電話を所持することも珍しくなく、中学生に至っては8割以上の生徒が所持。ほかにも携帯ゲーム機や音楽プレーヤーからも簡単にサイトへ接続できるなど、急速に普及が進んでいる。それに伴ってインターネットを介したトラブルも増加傾向。市教委でもチラシの配布や携帯電話の正しい使い方教室を開催するなど様々な指導をしているが、教師や家庭の目が届きにくく対応に苦慮している現状。昨年度、市内の中学校で顕在化したいじめ167件のうち、ネットやメールを使った誹謗中傷は10%を占めている。
学習に及ぼす影響
子どもをとりまくインターネット環境は刻々と変化する。その対応と方策を探ろうと、市教委の主催で平成20年から学校、PTA、地域、警察など関係機関による話し合いが行われており、今月18日に第5回会議が開かれた。
「子どもも携帯電話を持つことが当たり前の時代。持たせる中で、どう指導・支援するか」を主軸に、市内の学校で発生したSNSやコミュニケーションアプリを使った事案の報告と解決策を協議した。
会議では、今年度小学6年と中学3年を対象に行った「全国学力・学習状況調査」の結果を基に、学習面に及ぼす影響についても意見を交換した。
「普段、1日当たりどのくらい携帯電話やスマホで通話やメール、インターネットをしているか」の問いに「4時間以上」と答えた中3は全体の16%。「30分より少ない」と答えた約9%の生徒と比べ、全ての科目で平均正答率が下回っている。特に数学Bでは16・7ポイントの差がつくなど、使用時間の長さは正答率に顕著に現れているとの指摘があった。
課題は「危機意識の希薄」
保護者による見守り・管理体制(ペアレンタルコントロール)の強化も課題の1つとされている。
学校実施のアンケートによると、トラブルを水際で防ぐためのアクセス制限(フィルタリング)を利用している家庭は20〜30%程度と低迷。「うちの子は大丈夫」「子どもの方が詳しいから全て任せている」などインターネットの危険性に対する危機意識が低く、PTAからは「携帯端末を持たせる親の責任と覚悟が必要」という厳しい声があがった。
市PTA協議会では、親の視点から注意喚起を促す「ケータイ・ネット安全委員会」を発足。市内の小中学校で児童・生徒・保護者に対する講習会を実施し、これまで延べ3千人以上が講習を受けている。
携帯電話の安心・安全な利用には家庭や地域の連携が重要。近年では社会問題として地方自治体レベルで規制する動きもある。
2010年に条例改正された石川県の「いしかわ子ども総合条例」では、「防災・防犯その他の特別な事情を除いて、小中学生に携帯電話端末等を持たせないよう努める」といった事項が全国で初めて盛り込まれている。
横須賀市でも喫緊課題と捉え、平成21年に「携帯電話の取扱い及び指導に係る基本方針」を策定している。小中学校内への持ち込みを原則禁止、授業やホームルームを使って情報モラル教育を行うなど指導の徹底を図っている。
ネット依存を考える講演会
市保健所では12月10日(水)に「うちの子はまだ大丈夫!?油断していませんか」と題した講演会を実施する。講師に久里浜医療センター精神科医の佐久間寛之氏を迎え、若い世代に蔓延する身近な社会問題・インターネット依存について知識を深める。市保健所第1研修室(ウェルシティ市民プラザ内)で、時間は午後2時〜4時。定員70人(先着申込み順/今月28日(金)締め切り)、市内在住・在勤・在学者対象。申込みは市コールセンター【電話】046・822・2500
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