横須賀製鉄所(造船所)の創設150周年と東京湾要塞跡が国の史跡に指定されるのを受けて、横須賀市は今年、歴史遺産を活用した事業を積極展開する。観光集客の目玉に位置づけており、シンポジウムの開催や現存する施設を見学できるツアーを実施する。小・中学校では教育の題材に用いて、郷土意識の醸成などにつなげていく方針。
近代化産業発展のルーツ
1865年11月に建設が始まった横須賀製鉄所は、2015年に創設150周年の節目を迎える。市は、今年3月までをプレ事業、4月から来年3月を記念イヤーとし、11月を記念月間にあてる。主な事業では、全国誌「歴史読本」とのタイアップによる特集号の発行やヴェルニー公園に同製鉄所を紹介する案内板の設置を計画している。既存事業として行っているベースツアーは、製鉄所関連遺産バージョンとして実施。米海軍基地内で今も現役で使用されている日本最古の西洋式の石造ドックなどを公開していく。往時、稼働していたスチームハンマーが置かれているヴェルニー記念館では記念展示などを行うほか、美術館、中央図書館、人文博物館でも特別展示を開く。
昨年、世界遺産に登録された富岡製糸場のある群馬県富岡市との相互集客の仕組みづくりも急ぐ。1872年に建てられた同製糸場は同じ設計者が担当しており、建物の工法にも多くの類似点がみられることから横須賀とのゆかりをアピール。富岡を訪れる観光客の関心を誘う。このほかに小・中学校では、製鉄所の歴史を学ぶ機会を設ける。小冊子の配布などを通じて郷土の歴史に触れてもらう。
国史跡指定後に環境整備
明治・大正期に建設された東京湾要塞跡の猿島砲台跡と千代ヶ崎砲台跡が春をめどに、国指定史跡に登録される。近代以降の軍事遺跡では全国で初。日本の近代軍事事情や建築・土木技術を知る上での貴重な資料となるだけでなく、観光資源としての利用価値に注目が集まる。
特に西浦賀にある千代ヶ 崎砲台跡は防衛省の所有でこれまで立ち入りが制限されていたため、当時のままの状態を保っている。安全対策を講じる必要性から市は来年度の公開を一部にとどめる方針だが、担当する市政策推進部文化振興課では観光集客を含めて戦略的に活用していく構えだ。
これの前段として市は、東京湾要塞の歴史的役割や保存活用を考えるシンポジウムを2月1日(日)に実施する。軍事史学会で副会長を務める原剛氏が基調講演を行うほか、識者によるパネルディスカッションで市民の関心を高めていく。
時間は午後1時半から4時15分まで。会場は汐入駅前のヨコスカ・ベイサイド・ポケット。先着400人。入場無料。
詳細は同課【電話】046・822・8116
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