プロのジャズオーケストラを背に、センターでコンガを打ち響かせる少年―。先月31日に都内で行われた「第2回全日本ポップス&ジャズバンドグランプリ大会」のソロ・アドリブ部門で、阿部倉在住のひごたくみくん(池上小6年)が、見事グランプリを獲得した。 事前のビデオ審査を通過し、6人が出場した本選では最年少。なかでも「コンガ」での参加はただ一人。12歳にして、これまで数々の舞台を経験してきたが、「自信はあったけど、コンサート会場で審査される大会とあって緊張した」と振り返る。演奏した『リベルタンゴ』では、堂々とソロを披露。会場をタンゴのリズムで魅了した。副賞では、世界でも有数のジャズ音楽祭「モントルージャズフェスティバル」への推薦も。「これがいちばん嬉しかった」と、ステージとは違う少年の笑みを見せた。
出会いは5歳
数ある楽器の中で、なぜコンガだったのか―。ピアノ教師の母親の影響もあり、物心ついたころから音楽に慣れ親しんでいた。ある時、都内の音楽イベントでバンドの中にあったコンガを見かけて「これをやりたい」と両親に懇願。楽器店でも、おもちゃをねだるように「買ってもらえるまで動かない」という状態だったという。そうして手に入れたコンガ。「気付くといつも叩いている」と、その直感がピタリとはまった。「コンガの音で、起きたか眠ったか分かるほど」と、両親も目を細める。
個人レッスンの傍ら、音楽雑誌からライブハウスを探して聴きに行き、さらに飛び入り参加しながら、生の音楽に触れて技術を磨いた。初の本格的なステージは小学校1年生の時。大滝町の「ヤンガー・ザン・イエスタディ」でのゲスト出演だ。意欲的に活動する中で、「ライブハウスは実力の世界」と、その厳しさも身をもって感じている。
「僕だけの音色を」
キューバの民族楽器「コンガ」は、スティックを使わず、手でヘッド(皮)を叩き、その強弱や叩き方で表現する。「人それぞれ音色が違うのがコンガのおもしろさ。僕だけの音を作りたい」と、たくみくん。始めたころは、立ってやっと打面に届く背の高さだった。この数年で身長も伸び、手も大きくなった。音色も技術も進化の途上。目指すのは「世界」とキッパリ。この大会で、自ら選んだ衣装は「日の丸の赤」と、こだわりを見せる。「キューバの偉人、タタ・ウィネスのような”かっこいい音色”が憧れ」と力強く語る。
コンガの本場、キューバでセッションするのも夢のひとつ。そのために、スペイン語も勉強中だという。ジャズやルンバ、サルサなど、さまざまな音楽ジャンルを学ぶ楽しさも加わった。さらに、中学3年生の兄と共に、横須賀芸術劇場少年少女合唱団に所属し、ハーモニーの魅力も楽しんでいる。4月からは中学生。「僕の演奏で世界中を笑顔にしたい」。夢は大きく広がっている。
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