米海軍基地(ベース)のお膝元である横須賀中央エリアで、外国人購買者をターゲットにした販売促進の取り組みが活発化している。「入りづらさ」「言語の壁」を打開すべく、民間企業や地元商店街らがそれぞれの切り口でアプローチする。
市によると、市内在住の米軍人、軍属者やその家族は約1万3千人(平成23年3月末時点)。基本的に基地内で衣食住は満たせるが、技術の高い日本製品やサービスに関心を寄せる人も少なくない。市内の民間企業や地元商店街側も、売上減少対策の一手として外国人購買者に熱い視線を送る。横須賀商工会議所が平成23年から発行しているガイドブック「ヨコスカイチバン英語版」の登録店舗数は、年々右肩上がり。昨年94店舗から今年117店舗と約20店増。担当者は「5〜6年前から外国人需要を取り込もうとする商店主のニーズを感じる。掲載店には、ステッカーを貼るなどしてPRを進めている」と話す。
「言葉の壁」解消
大手旅行会社JTBグループは先月、外国人接客に活用できる翻訳アプリを発売。三笠ビル商店街内の2店舗でテスト導入した。タブレット端末に指さし英単語が表示されるほか、画面上にオペレーターを呼び出しその場で通訳してもらうこともできる。JTBの担当者は「これを機に全店に導入し、『英語が話せる商店街』としてのイメージ作りに活用してほしい」と話している。
「英語OK」PR
「個店の外国人集客の課題を聞きだし、売上げに反映させたい」と話すのは、同エリア若手商店主の有志グループ「ヨコスカダウンタウンクラブ(YDC)」の陳寛明代表理事。着目しているのは、美容院や眼鏡店など細かな要望が多い店。英語での注文が比較的しやすい飲食店に対し、個人のニーズが伝わりにくいため、新規客やリピーター獲得に苦慮しているのが現状だ。 YDCでは今年1月、加盟店の美容室に外国人モニターを招き、通訳を交えてシミュレーションを実施。ヘアカラーの髪色の伝え方など、店側が抱える課題を確認した。眼鏡店では、英語のできるスタッフがいることを看板などで積極的にPRすることを提案。「街にあふれている外国人購買者を逃さない手はない。『英語OK』を掲げるだけでも、基地内の口コミが期待できる」と陳さん。YDCでは、今後も意欲のある加盟店に外国人モニターを派遣していく意向だ。
「歓迎の姿勢が大切」
上町銀座商店会が先月から始めたのは「カタコト英語教室」。近年、さくらまつりやハロウィンを通し、外国人の来場が目立ってきたのを受け、講師を招いて独自で行っているものだ。合言葉は「完璧でなくてもいい」。20代から80代までの生徒約10人が、中学1年生レベルの簡単な道案内や接客用語を学ぶ。参加した80代の女性は「昔勉強した記憶を思い出すのが大変。でも、歓迎している姿を見せるのは大切」と話す。教室は週1回平日夜。当面の目標は、7月に行われる「灯ろうまつり」で「外国人に気後れせず話しかけること」だという。
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