がっちりした体格の選手たちが、野太い声をあげながら練習する横須賀総合高校ラグビー部。その中に紅一点、周囲より1段高い声を出す女子部員がいる。1年生の高橋瑠衣さん。4月末に行われた高校生の女子7人制世界大会に、1年生ながら神奈川県選抜として出場。現在は30人の男子部員に交じり、スクラムやタックルといった激しい練習も、ほぼ同じメニューでこなし、日々鍛錬に励む。
ラグビー好きの父の影響を受け、弟や妹は早くから始めていた。自身も興味はあったが、周囲の目が気になって躊躇していた。「ヘッドギアがダサくて嫌だった」と笑って振り返る。そんな普通の女の子がラグビーに熱中するきっかけになったのが、小学5年生の時、家族で観戦に訪れた社会人トップリーグの一戦だった。ボールを持った選手が相手の密集する中央を抜け、聖地「花園」の真ん中を独走、トライを決めた姿に「衝撃を受けた」と話す。すぐに地元のラグビースクールに入団。のめりこむのに時間はかからなかった。中学入学後は脚力を鍛えるため、陸上部に所属。土日はクラブチームでラグビー漬け。努力は着実に成長へとつながり、3年生の時には兵庫県選抜の主将を務めた。
「今ではなく、将来のために」
昨秋、父の転勤で横須賀に引っ越してきた。市内の高校に女子ラグビー部はなく、プレーできる環境を探してたどり着いたのがこの学校だった。高体連で女子ラグビーの委員をしていた坂本成利教諭に出会い、新天地で競技を続けている。
女子1人で屈強な男子に交じっての練習、公式戦に出られない規則、恵まれている状況ではないが「今の環境に自分は満足している」と前を向く。見ているのは目先ではなく、5年後。「日本代表として東京五輪に出る」--。男子との練習は体格差のある海外の女子選手と戦う時に役立つ。公式戦に出場できない時間を、ウエイトや体幹などの基礎に費やせると前向きに捉える。
「ラグビーに出会えてよかった」。ヘッドギアは今やもう手放せない。
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