今月26日から開幕する「紀の国わかやま国体」でライフル射撃競技に出場する マティウス 剣さん 望洋台在住 14歳
五輪出場に照準定め
○…「的を狙っているときは、胸の鼓動ひとつでブレてしまいます。だから、息を止めるんです――」。国体出場を決めた大会は、前半周囲の誰もが落胆する「大コケ」。しかし、合計点で競うのがこの競技。後半、自身最高となるシリーズ95点で巻き返し、辛くも優勝を勝ち取った。「ミスで崩れず、ゾーン(極度な集中状態)に入れた」とアスリートとしての成長を見せる。
○…日本人の母とアメリカ人の父をもつ。小学5年生からサッカーを始めたが、「競技人口が多くて一番にはなれそうもない」と冷静に捉える自分がいた。そんなとき、母親の何気ない勧めで参加することになった市内のスポーツ射撃大会。「ゲームではよくやっていた」と息巻いて出場したが、結果は6人中最下位。一緒に参加した妹が2位だったことが、自身に火をつけた。射撃場が近場の久里浜にあったことも幸運だった。放課後、経験者揃いの射撃場スタッフにアドバイスを受けながら、半年後には50人規模の大会で3位になるほどの実力を備えた。
○…競技に必要なのは屈強な筋力ではなく、環境に惑わされない精神力。始めてわずか2年の急成長に、周囲からは世界での活躍を期待する声もあるが、「(それ自体が)プレッシャーに慣れる練習なんです」とさらりと受け流す。今回はビームピストル(光線銃)での出場だが、主に力を入れているのはエアライフル(空気銃)。エアピストルと合わせ、両方の所持資格を有している中学生は全国でも珍しいという。
○…学校ではピストルをカメラに持ち替え、思い思いの風景を撮りに行く。写真部に所属するのは「手ブレを少しでもなくすため」と相好を崩す。今夏は武者修行として、新潟県や山梨県などの試合に出向き、射撃漬けの日々を送った。「頭で描いた通りにいった瞬間が、最高に気持ちいい」。国体への準備は万全。5年後の五輪という的も、当然射程距離に入っている。
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