空き家対策事業 条例改正し体制強化 「活用推進担当」課長も任命
「所有者が分からず、放置されたまま」「管理されておらず倒壊の危険がある」―。全国的に増加傾向にある空き家の問題。横須賀市は、解体費用の助成や、空き家バンクでの居住者仲介、学生の居住支援など、対策事業に力を入れている。一方で、国の「空き家対策特別措置法」施行に伴い早急な対応ができるよう、7月に条例改正を行う方向。内容に関して、パブリックコメントの手続きも進んでいる。
昨年5月に施行された「空き家対策特別措置法」により10月、東浦賀にある1軒の空き家が市によって取り壊された。周囲の住民から倒壊を危惧する苦情が相次ぎ、市は放置すれば危険となる恐れがあるとして、「特定空き家」と指定。所有者が確認できず危険なため、代執行で除却工事を行ったもの。市内で同様の指定を受けた物件は約60軒あるといい、その早急な対応を迫られているのが現状だ。
同措置法により、解体の通告や強制的な対処が可能になったが、市は2012年に施行した「空き家等の適正管理に関する条例」との整合性を図るため、今年7月に条例を改正する。行政側が自ら行える軽微な措置として、(空き家で)開放されている窓や門扉の閉鎖、飛散した部材の移動、市道の通行に支障がある枝葉の伐採などを追加する。現在、これに関するパブリックコメントを募集している(2月9日(火)まで市建築指導課で受付中)。
また、市では今年4月の組織改正で、新たに「住まい活用推進担当課長」を任命する方向。空き家に関する実態把握と情報集約のほか、市内外の居住希望者とのマッチングや相談も受ける。市では「市役所内の担当課だけでなく、不動産業者や関係団体と連携し、横断的に対応できるようにしたい」と話す。
空き家ビジネス活発
行政が危険な空き家や居住促進に対策を講じる一方で、その利活用や管理に民間団体や事業者も乗りだしている。市の「空き家バンク」に登録された物件を居住に留まらず、事業活用の道を探る試みも進む。谷戸をIT企業集積の地として発展させる「横須賀バレー構想」もその一例。実際に、汐入町の高台に携帯アプリ事業者が開発拠点を設けている。また、逸見地区では、シェアスペースや隠れ家的な店舗として改修している例もある。駅からの距離や静かな環境、賃料の安さなどを”強み”にしたものだ。
さらに、追浜では昨年春、関東学院大の学生が空き家のリノベーションを手掛け、シェアハウスとして再生。第2弾として現在、追浜南町で空き家改修を行っている。地域の交流スペースとして活用する計画で、町内会とも連携を図っており、コミュニティの創出にも力を入れている。
一方で、地元の不動産会社では、昨年から巡回サービスを展開。オーナーに代わって空き家・空き地を定期的にまわり、庭木の剪定・伐採なども行う。また、監視カメラ設置やメンテナンスなど「見守り」を行う市内事業者も増えており、法制度が整備される中で、関連事業やビジネスが、さらに活発化しそうだ。
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