引き取り手がない猫の保護と、新たな飼い主への譲渡を目的としたカフェを営む 柳澤 由美子さん 坂本町在住
子を嫁がせる母の気持ちで
○…昨今の”猫ブーム”を「喜ばしいことだけではない」と複雑な表情で語る。安易に飼育し、安易に捨てる―。そんな例が後を絶たず、野良として捕獲された後、殺処分になることも。「良い里親に出会えるきっかけを増やせれば」との思いで、愛護センターから引き取り、自宅兼カフェで保護と譲渡を行う。狭いケージではなく、部屋全体を自由に歩き回らせ、リラックスした空間で利用者との相性を見極める。この半年近くで9匹を”安住の地”に送り出してきた。
○…「何事も放っておけない」性格の母を見てきたからか、「いじめられっ子を守る」正義感のある子どもだった。捨て猫も見過ごすことはできず、「自宅で飼えなかったので、友達に無理やり頼み込んだ」と当時の純粋さを苦笑して振り返る。幼少の頃の気持ちは今も変わらず、昨夏から保護カフェを営む。「大の猫嫌いだった夫が私より愛情を注ぐようになった」と伴侶の協力に感謝する。
○…寄ってきたかと思うと、急にいなくなる―。「自由気ままなところが良い」猫の魅力を満面の笑みで話す。愛情は人一倍。新たな飼い主候補が現れると、年齢に家族構成、職業に収入まで徹底的に審査する。全ては猫の幸せのため。ただ、保護期間が長くなるほど情が強まり「ずっとここにいてほしくなる」と本音も。「子を嫁がせる母の心境」で送り出した後に「新たな飼い主から幸せそうにしている写真を見せてもらうのがやりがい」とほほ笑む。
○…愛護センターでは、まだまだ多くが狭いケージの中で新たな里親を待っている。街中では明らかに体調の悪い野良を良く見かける。「全部を救ってあげたいけど…」。カフェのスペースにも限りがあり、拾ってきた猫が病気持ちで、感染が広がる可能性も少なくない。理想と現実の狭間で揺れながら、「受け皿を増やす方法を模索していきたい」と”我が子”たちの幸せを願う。
|
|
|
|
|
|
|
<PR>