箱根町の富士屋ホテルに勤務するバーテンダーの水岸直也さん(31)(大津町出身)が、酒販会社主催のカクテルコンペで優勝を果たした。来月、上海で行われる世界大会に日本代表として出場する。
同大会はスコッチウイスキーの銘柄「シーバスリーガル」を使用し、与えられた課題のカクテルを表現するもの。15カ国で予選が行われ、各国の代表から世界一を決める。テイストはもちろん、所作や創作のストーリー性も審査のポイントとなる。
今回は3つの都市(ニューヨーク、上海、地元)をイメージした3作品がテーマだった。
水岸さんは「地元」の作品で箱根の露天風呂を表現した「ホットスプリングクーラー」=写真右下=を披露。レモンなどを使用し、程良い酸味を出しながら、早春を想起させる若草色、冬の風情ゆずの香り、そこにもみじを加え、四季を視覚や嗅覚、味覚でアピール。国際審査員から高評価を受け、日本一に輝いた。
横須賀で築いた礎
大津町で生まれ育った水岸さん。大津高在学時、夢中になっていたバンド活動を極めたいと専門学校に進学することを考えていた。しかし周囲のほとんどが大学に進学する状況でその思いに迷いが。自分を見つめ直すためにと始めたアルバイトがバーだった。「稼ぎが良かった」と動機は単純。お酒の知識はなく、ゼロからのスタートだったが、カウンターを挟んだ客の気持ちを考えて酒を作る楽しさにいつしか魅了されていた。
川崎や東京のバーで修業を重ねた後、25歳の時、横須賀に帰郷。どぶ板通りから米が浜通の店を1軒1軒回り、新天地に選んだのが若松町の「フォープレイ」。「店のスタイルが衝撃的だった」と水岸さん。お酒だけでなく、会話や人となりでゲストを楽しませるという考えは今までの自分に欠けていたものだった。「オーナーや店長との出会いが礎になっている」と当時を振り返る。オーナーの橋本理さんは「もともと技術はあったうえに、接客も覚えたことでより優れたバーテンダーになっていった」と後輩の成長を喜ぶ。
水岸さんはその後、常連客の紹介で、格式の高さで知られる富士屋ホテルに移り、技術の研鑽に努めている。「世界大会が終わって一段落したら、お世話になった地元の人達に挨拶に行きたい」と”育ての親”たちに成長した姿を見せに帰るつもりだ。
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